吉野家が「5年でラーメン事業の売上高を80億→400億に」と宣言。実現できたらどの程度凄いのか? そして案外“いい戦略”かもしれないワケ

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思えば、同社のうどんブランドである「はなまるうどん」も、もともとは別の会社であった。

「0→1」より、「1→100」のほうが得意な会社……なのかはわからないが、いずれにせよ、M&Aの積極さを見るとラーメン事業への本気度が見え隠れするし、「そっちのほうが、戦略的には筋がいいのでは?」と感じさられるのだ。

きっと吉野家ならやってくれるだろう!

ということで、まとめるとラーメン事業へのいっそうの注力は「清々しいな、吉野家」というところで好感を持ったのである。

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もちろん、不安要素がないわけではない。まだそれほどまでに実績がない段階で「かなりの規模のラーメン事業を作る」とブチ上げているし、どことなく数字のほうが先行している雰囲気もある。

しかし、吉野家にはきっとまだまだ私たちには知らせていない秘策があるのだろう。でなければ、ここまで大胆な目標は出せまい(はずだ)。

中期経営計画を見ると、ラーメンの勝ち筋の一端が垣間見える。例えば、宝産業の買収によってハラル向けスープの製造を行ったり、ヨーロッパにスープ製造拠点を拡充させたり……といったことを行うようだ。

吉野家は「ラーメン世界一」を実現できるのか。今後の施策を待ちながら、吉野家の「ラーメンの5年間」をじっくりと追っていきたい。

【もっと読む】6月末に「都内で大量閉店」の天下一品。久々に訪れると味は昔のまま…なのに、昨年にも多数の閉店が。一体なぜ「縮小」が続いているのか? では、天下一品の閉店騒動の裏側について、チェーンストア研究家の谷頭和希氏が詳細に解説している。
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。「東洋経済オンラインアワード2024」でMVPを受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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