吉野家が「5年でラーメン事業の売上高を80億→400億に」と宣言。実現できたらどの程度凄いのか? そして案外“いい戦略”かもしれないワケ

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さらに、店舗数も500店舗へと広げていく。これらの結果として、2034年度にはラーメン提供食数で世界一を目指していくという。

この目標に向けて現在、吉野家HDはすでに、京都のラーメン店「キラメキノトリ」やラーメン製造会社の「宝産業」などを積極的にM&Aし、傘下に収めている。

しかし、この目標、あまりにデカい。それを確かめるために、「売上高400億円で500店舗」というのが、どれぐらい大きな目標かをみてみよう。

入手できる資料をもとに、競合他社の数値を上げてみると……

日高屋     売上高 約556億円 店舗数 457店舗
リンガーハット 売上高 約479億円 店舗数 559店舗
ラーメン山岡家 売上高 約345億円 店舗数 188店舗
幸楽苑     売上高 約268億円 店舗数 389店舗
丸源ラーメン  売上高 約181億円 店舗数 219店舗
一風堂     売上高 約155億円 店舗数 118店舗

こうしてみると、一風堂や丸源ラーメンよりは大きい規模で、売上高でいえばラーメン山岡家やリンガーハットほどの規模、店舗数でいえば日高屋と並ぶぐらいの規模感である。

様々なブランドを足し合わせた数値になるだろうが、それでも「日高屋の規模を目指す」と言うのは、なかなか大きな目標だ(写真:編集部撮影)

ラーメンチェーンとしても私たちがよく知っている店が競合になってくる。少なくともどこの街に行っても「吉野家のラーメン屋がある」という状態になるわけだ。

中期経営計画の目標は、一見すると途方もない数値に見えるが、現在のラーメン業界でのちょうどメジャーどころのポジションを狙いにいっている数値だともいえよう。もっともそれを5年でやってのけてしまうというのだから、相当に思い切った発言だとわかる。

吉野家はなぜ、ラーメンに行くのか

吉野家がラーメンに本気なのはなぜか。一つの要因は、事業ポートフォリオの分散化を進めるためだろう。

もともと、同社は牛丼事業の比重が大きく、「牛丼一本足打法」などと表現されることもあった。実際、2000年代にはBSE問題で大打撃を受けたトラウマもある。事業の柱を増やそうとするのは、合理的な考えである。

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