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政治・経済・投資 #不気味な北朝鮮

駆逐艦の「重大事故」で金正恩氏が激怒した理由は? 北朝鮮が推進する「新軍拡路線」の虚実を見抜く

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  • 坂井 隆 元公安調査庁調査第二部長、北朝鮮ウォッチャー
  • 箱田 哲也 朝日新聞記者

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マックスアール・テクノロジーズが2025年5月23日に撮影したもので、北朝鮮北部・清津(チョンジン)での事故後に港に停泊する北朝鮮の新造戦艦(写真・AFP=時事)
北朝鮮の朝鮮中央通信は2025年5月22日、北部の咸鏡北道にある清津造船所で前日の21日にあった5000トン級駆逐艦の進水式で重大事故が起きたと発表した。最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「到底許しがたい重大な事故で犯罪的行為」と怒ったという。
戦力の増強を進め、それをことさらに強調する北朝鮮だが、その実情や真意は何か。長年にわたって北朝鮮をウォッチしてきた元公安調査庁調査第二部長の坂井隆氏に、朝日新聞記者の箱田哲也氏が聞いた。

陸海空軍、軍需工業も戦力増強

箱田 金正恩氏はえらい剣幕で憤激しているようです。

坂井 金正恩氏がかねて幹部層に対して抱いていた不信・不満が作用しているとみています。北朝鮮報道は、今回の「事故調査」の目的を「どの部門を問わず蔓延している警戒心の欠如、無責任さと非科学的な経験主義的態度に強い打撃を与え、警鐘を打ち鳴らすこと」にあると説明しています。

これはまさに、金正恩氏の考えを反映したものでしょう。彼以外、「どの部門を問わず……」などという「上から目線」の批判はできませんから。それに加えて、金正恩氏の戦力増強に向けた強い思いも、もちろん無視できません。

箱田 今回の駆逐艦もそうですが、このところ北朝鮮は戦力の増強を加速化させていますね。

坂井 核・ミサイル関連のみならず、陸海空の通常戦力全般、さらには軍需工業部門の生産能力まで幅広く増強しているのが最近の特徴です。

核・ミサイルに関しては、2025年1月から金正恩氏が新型極超音速中・長距離弾道ミサイルや戦略巡航ミサイルの試射を参観したほか、核物質生産基地と核兵器研究所を現地指導したことが報じられました。

これらを皮切りに、「核戦力を一層高度化していく確固たる方針」(2025年2月8日国防省訪問時演説)などを繰り返し言明しつつ、配備済み戦略巡航ミサイル発射訓練や短距離ミサイル部隊の合同打撃訓練を指導しました。

箱田 通常戦力のほうはどうですか。

坂井 とりわけ海軍増強の動きが顕著です。金正恩氏が2025年3月に重要造船所を訪ね、大型水上艦と「原子力戦略誘導弾潜水艦の建造実態」を視察したと報じられました。

さらに4月下旬には5000トン級というこれまでになかった大型駆逐艦の進水記念式と武装試験に出席し、同種の艦船のみならず遠洋作戦艦隊のさらなる建造構想を明らかにしました。今回の駆逐艦進水式での事故は、そうした動きの延長線上で起きたハプニングと言えます。

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