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不倶戴天の敵「尹政権崩壊」にも北朝鮮がはしゃがぬわけ、不倶戴天の敵「尹政権崩壊」にも北朝鮮がはしゃがぬわけ

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  • 坂井 隆 元公安調査庁調査第二部長、北朝鮮ウォッチャー
  • 箱田 哲也 朝日新聞記者

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2024年6月に撮影された平壌市内の様子。北朝鮮は韓国を同族の関係ではなく「別の国」と見なし、韓国の内政には落ち着いた反応を見せている(写真・Contributor/Getty Images)
韓国憲法裁判所は2025年4月4日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を罷免・弾劾することを全会一致で決めた。歴代政権で北朝鮮に最も強硬な政策を打ち立てた尹政権は、任期を折り返した矢先に失速し、志半ばで退陣することになった。
北朝鮮指導部は、きっと胸がすく思いに違いない。だが鬼の首でもとったかのような騒ぎかと思いきや、国営メディアはいたって冷静な報道に徹している。なぜか。これまで長年にわたって北朝鮮をウォッチし、北朝鮮の実情に精通する元公安調査庁調査第二部長などを務めた坂井隆氏に、朝日新聞記者の箱田哲也氏が聞いた。

2017年朴槿恵氏の弾劾時は大々的に報道

箱田:韓国ではついに現職大統領の尹氏が罷免されました。

怨敵というか不倶戴天の敵というか、とにかく北朝鮮に圧力を加えてきた政権だっただけに、北朝鮮は大声で「ざまあみろ」と叫びたい気分だと思うのですが、表向き、決してはしゃいでいませんね。

坂井:尹氏が2024年12月3日の夜に「非常戒厳」を宣布して以降、罷免が決まるまで、韓国の政治情勢はとても流動的でした。

でも北朝鮮の報道機関は、たとえ大きな節目であっても事実関係の簡単な紹介と外国メディアの論評の引用などで構成した記事を掲載するにとどめています。距離を置いた姿勢を一貫させていると言えるでしょう。

2016年から2017年にかけ、朴槿恵(パク・クネ)大統領が民主化後の韓国で初めて弾劾・罷免された際は、その経緯を大々的に報じました。今回は極めて対照的です。

箱田:面白いですね。北朝鮮は何を考えているのでしょう。

坂井:尹氏は非常戒厳の理由の1つに「北朝鮮共産勢力の脅威から自由大韓民国を守る」ことを挙げました。

北朝鮮メディアが仮に、尹氏の弾劾・罷免を扇動・支持するような報道を行った場合、尹氏が理由にした「北朝鮮による韓国内政への介入」という主張に裏付けを与えてしまい、むしろ、弾劾・罷免の流れを阻害しかねないことを懸念したのだと考えられます。

言い換えると、北朝鮮が積極的に弾劾・罷免を支持するよりも、むしろ、表面的にはおとなしくしていたほうが有益と判断したのでしょう。

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【韓国政局への影響を配慮し抑制的に報じる】

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