「備蓄米放出か、小泉大臣やるじゃん」「JAはもう解体しちゃえ!」は非常にマズい考えだ…。小泉大臣「備蓄米放出」騒動に抱く"危うさ"の正体
ここ数年、とくにSNS上において、「ブラックボックス化している巨大組織を倒そう」とする雰囲気が醸成され、存在感が増している。「NHKをぶっ壊す」旋風を受けて、ガーシーこと東谷義和氏が参院議員になったのも、兵庫県知事選で斎藤元彦氏が再選したのも、いずれもSNS上で「既得権益の打破」が望まれていたからだ。
最近よく見られる「オールドメディアたたき」も、その一翼を担っている。財務省を諸悪の根源として、解体すべきだと主張するムーブメントもある。これらはすべて、「可視化」や「透明化」といった大義名分のもとで行われ、人々を熱狂の渦に巻き込んでいる。
しかし、そうした空気が「善と悪」の対立構図に持ち込み、それ以外の妥協策を排除することも少なくない。JAに話を戻せば、「解体か、存続か」の2択ではなく、時代に合った形に発展的解消を試みることだってできるはずだ。
にもかかわらず、議論も十分でないままに、自らが抱いた“正解”を振りかざし、正義感だけで突っ走ると、行き着く先は明確だ。
とはいえ、対立構図に持ち込み、支持を得るという手法は、SNSの普及以前から存在していた。民主党が「政権交代」を掲げ、実現した2009年の総選挙もそうだ。そして、2005年に「抵抗勢力」へ刺客を送り、郵政選挙で圧勝した純一郎元首相も同様である。
進次郎氏にJA改革を期待する今回のムードも、こうした歴史と無関係ではないだろう。前提として、JAは農業者が組織した協同組合であって、父親の純一郎元首相が民営化した郵政3事業のような公的機関ではない。しかし、備蓄米入札の件に見えるように、日本の農政を実質的に担っている存在であることから、官公庁に向けるそれと同様の視線が送られている。
備蓄米の品質を試せる、手に取りやすい価格で販売
農政改革の期待を託されているのは、進次郎氏ひとりではない。今回の随意契約に申し込んだ、もしくはその予定の業者もまた、「JA以外の販路」として注目されている。
たとえば5月27日には、ファミリーマートが1キロ400円(税抜)で販売する方針だと報じられ、話題を呼んでいる。
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