経済学者とは何ができる人間なのか。実感として私は、「経済学語をうまく話せる人が経済学者である」と考えています。
同じように、法学者とは法学の言葉を使って物事を語ることができます。私は法学語を操れませんから、法律をうまく使えない、うまく議論ができないというわけです。そういうことを、法学者や弁護士と話すとよく感じます。自分は法学語をあのようにスラスラと喋れない。
ですから、「教科によって教科書の読み方を変えなければならない」という新井氏の指摘に、そうそう、そういうことなんだよと強くうなずくのです。
絵本の読み方で算数の教科書は読めない
まず大事なのは、各教科によってそれぞれの学習言語を獲得しなければならないという指摘をすることだと思います。
でなければ、大抵の人たちは、絵本を読むのと同じような読み方で、教科書を読んでしまうからです。そのように文章を読んでいては、当然、算数の文章問題は解けませんし、国語の現代文を論理的に読み解くこともできません。歴史の史料も、絵本のようには決して読めません。
新井氏は、知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章を読む力を鍛えることが重要だと述べ、そのような力を「シン読解力」と定義しています。私も、そのような文章の読み方を身につける訓練がとても大事だと思います。
私自身、子供を育てる過程で、新井氏の言う「シン読解力」が大事だと感じることが何度もありました。いくら本の読み聞かせをしても、いくら本を読む子でも、算数の文章問題をうまく読めないということがあるのです。
話している様子からは、言語能力はそれなりに高いと感じるし、本もきちんと読める。でも、文章問題を正しく読むことができていない。
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