「こども食堂から一線を引く」 《こども食堂》の名付け親が決意した背景 ボランティアでできる支援には限界がある
申請書類を気軽に書ける人ばかりではありません。自分の生活も大変で、仕事に行きたいけれど、あの子が来るから場所を維持しなければというところがあります。中には、ACのコマーシャルを変えてほしいという方もいます。あのおかげで来る人が増えてしまった。自分たちのキャパを超えているというのです。
それなのに、寄付や助成金が集まって、「こども食堂」は儲かると思われている場合もあります。広告を見た女性が、息子が離婚したので、中学と高校の孫たちが春休みにここにご飯を食べにきてもいいかと聞きにきました。どこからかお金をもらっているのでしょうと。
運営する中で困るケースも
困難な事例を抱えて困っているところもあります。母子関係が難しいご家庭があって、子どもがいろいろ話してくれるけれど、児相には行きたくないという。何度か児相に行ったが、同じことしか言わないからと。そう言われてお友達の家に泊めてしまえば、お母さんから誘拐したと言われてしまう。
怖い思いをすることもあります。ギャンブル依存の人が、私が1人でいる時にフラッと現れるのです。食べるものをくれと。ちょっと怖い。警察を呼びますよと言わなければならないこともあります。ただ、そう言うと逆恨みされることもありますよね。
――今、こども家庭庁はさらに地域の子どもの居場所づくりを呼びかけています。厚生労働省は、高齢者・障害者・子ども・生活困窮の分野でそれぞれ行われていた相談支援・地域づくりを一体的に実施する重層的支援体制整備事業を民間の力を巻き込んで進めています。
地域力、居場所作りといいますが、そんな生やさしいものではないです。そういうことを行政の方も知ってほしい。あなたたちはお仕事ですが、私たちはボランティアだということを忘れないでほしい。こども食堂は行政の下請けではありません。

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