「こども食堂から一線を引く」 《こども食堂》の名付け親が決意した背景 ボランティアでできる支援には限界がある
ハードなケースに関わってしまったら、いつまで続ければいいのか。ハードなケースだからといって、必ずしも上手に児相や区につなげることができない。大変なご家庭の子どもの支援は、行政や学校と情報共有しないと難しいです。しかし、行政は縦割りです。児童相談所と、区の子ども家庭支援担当課や生活保護担当課との連携がいいとは限らない。
また、地域には町会や商店会など既存の団体があります。自治会長や保護司、民生委員など、肩書きがある方たちもいる。こども食堂は地域の新参者で、なかなか関係を作りにくい。日本の体制って、国民をタダ働きさせるようにできているのではないかと思うこともあります。国民の善意を利用して、これはいいことですから、みんなで頑張ってください。頑張りましょうと。あおってきたんだなと私は思います。
地域に密着した行政が生まれてほしい
――近藤さんは、どのような地域と行政のあり方が理想的だと考えますか。
地域に密着した行政が生まれてほしいです。夏休みに給食がないので「こども食堂」に頼むのではなく、行政が調査をして、大変なご家庭に、おコメを配ったり、お弁当会社と契約をしてお弁当を配ることもできます。

大田区には、社会福祉協議会の職員として、地域福祉コーディネーターが置かれています。ただ、人口約75万人に対して15人。まったく足りません。
地域でネットワークを持って活動している人たちに謝礼金を出して、サブコーディネーターとして一緒にケース会議をするなど、きめの細かい対応をすれば、しっかり仕事をしてもらえるのではないでしょうか。大田区では直近で税収が上がっているそうです。だったら、子どもにお金を使ってほしい。
私は最初からこども食堂はなくなればいいと思っていました。いつ辞めてもいいようにしないと。今抱えている家族は行政に返せばいい。別のこども食堂につなげばいい。それよりも、お隣さん同士がもう少し気を遣いあって、地域を作るほうが大事だと思います。多く作りすぎた煮物や頂き物の野菜を届けるとか。少しの間子どもを預かるとか。それが、ボランティアとしての範囲でできる地域力だと思います。
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