急な“高級路線”は受け入れられる?
とはいえ、旧体制からガラリと方向転換したことで、客足が離れる懸念は残る。撤退前後で運営元やコンセプトが変わったとはいえ、一般消費者からしたらホノルルコーヒーの屋号は変わらない。いきなり高級路線を打ち出しても定着するのだろうか。
「コナ豆は仕入れ値も高いが、ブランド価値を浸透できれば、撤退以前の倍近い価格でも通用すると考えている。昨今の情勢を鑑みると、コーヒー豆の価格は、将来的に3割近く上昇すると見ている。仮に実店舗で安価に提供したところで、将来的な値上げを避けられないなら、当初から品質やホスピタリティーを重視して、感度の高い顧客を掴むのが賢明だと感じている」
出店当初は厳しい局面もあったものの、目下、業績は好調だと明かす。
「再上陸1号店の原宿は、駅徒歩2分の一等地で、かつ席数も少なく見積もったことで、周囲から『正気なのか?』と懸念する声もありました。ただ、現在はコンスタントに月商1000万円を優に超え、休日は売り上げ70万円をたたきだす日もあります」
一方で、運営コストも高くついている。飲食業界では”30%35%理論”(安定した利益を確保するには原価率30~35%に抑えるべきという指標)があるが、原宿店ではそれより高い水準だという。
「コーヒーチェーンの場合、一杯あたりのコーヒー原価は30円前後が相場と言われていますが、うちのコナコーヒーからしたら(相場は)信じられないほど安い」
仮に、原宿店の月商を1000万円、原価率を35%、人件費を25%と見積もり、そこに賃料300万円が乗れば、諸経費を引かずとも純利益は100万円しか残らない計算となる。
しかしこの「赤字スレスレ」運営も織り込み済みだ。再上陸1号店となった原宿店では、ブランディングの意味合いが強くあえて運営コストを高めに設定しているという。

「原宿店に関しては、33坪で坪単価10万円近くながら、34席と余裕を持たせたレイアウトにしたが、これはあくまでもブランディングの一環。銀座店と麻布十番店では、席数を増やし、徐々に収益を見込める体制に移行していく。3店舗合計で月商4000万円を確保しつつ、店舗運営にかかる諸経費を賄っていく」
2034年までには、フランチャイズを含め、全国50店舗を目標に出店を進めていく。
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