窪田:志望した中で、結果に応じて一番いい学校に行けるということですね。
中室:そうなんです。生徒は純粋に自分が志望する順番に高校をリストアップすればよく、万が一難関校に落ちたときのリスクを考えて志望校を変える、などといった戦略を取る必要はありません。学校側にとっても、受験日程の調整や入学辞退による欠員への対応などをしなくてもよいので、大幅な変更をしなくても取り入れやすい方法といえます。
DA方式は、もともとは研修医の臨床研修先となる病院の配属で使われていたシステムで、日本でも全国の市区町村において保育園の入園調整で使われています。
窪田:医療業界だと、研修医と病院のマッチングでも使われていますね。一番行きたい病院に、一番能力が高い人から選ばれていく仕組みなので、とてもフェアだと感じます。
中室:これまで難関校への受験を尻込みしていた人でも、最終的に自分の成績に合った学校に合格できるので、積極的に挑戦できるようになる。受験生にとってそのメリットは大きいと思います。
デジタル併願制導入に向けた動き
窪田:デジタル併願制導入に向けた、具体的な動きはあるのですか?
中室:4月22日にデジタル行財政改革会議があり、そこで東京大学の小島武仁先生らのチームと協力し、単願制をデジタル併願制(DA方式)に変える提案を出しました。その提案を受けて、石破首相が文部科学省やデジタル庁に対応を要請されたので、今後、希望する自治体での試行実施を経て、全国での実施を目指していきます。
ただ、入試制度は、現行の制度を前提に準備している子供たちがいるので、最低でも1年以上は時間をかけて進めていくことになります。
窪田:複数の公立校を志望できるようになれば、生徒さんたちが「合格できる学校の読み合い」に時間を使わなくてよくなる。純粋に学力を高めることに集中できそうですね。近い将来、デジタル併願方式が実施されるのを期待しています。
次回は、「ゲームをやめさせれば、子供は勉強するようになるのか?」の疑問に、中室先生のご専門である教育経済学のエビデンスからお答えいただきます。
(構成:安藤梢)
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