プレミアムブランドのリンツもゴディバも参入、「ドバイチョコ」ブームが止まらない"時代の必然"

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共通する特徴は、チョコレートの中に「カダイフ」というトルコや中東ではおなじみの、ザクザク食感の極細の麺状の生地が使われていること。これがピスタチオペーストの中に混ざっているので、外側はチョコレート色、中身はピスタチオのグリーンになる。やや厚みのある板チョコスタイルが多いが、一粒タイプやバータイプもある。

ドバイチョコレートのルーツは、ドバイにある小さなチョコレート店「FIXチョコレート」の「Can’t Get Knafeh of It」という商品だ。2021年にドバイ在住のイギリス系エジプト人、サラ・ハムーダさんが作ったもので、ドバイ伝統のチョコレートというわけではない。

人気に火がついたのは2023年12月、フードインフルエンサーのマリア・ヴェヘラさんが、このチョコをかじるASMR(人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地よい、脳がゾワゾワするといった反応・感覚)系の動画をTikTokに投稿したことだった。

とろりとしたピスタチオペーストの動きや、カダイフをかむときのザクザク音がウケて、これと同じチョコを食べたい人が続出した。これによってFIXチョコレートの売り上げは急増。ドバイや中東では、ほかのブランドがよく似たチョコレートを製造・販売するようになった。

デイヴァンの「ドバイチョコレート」(税込み3008円)。チョコレートの中にカダイフとピスタチオペーストが入っているのがドバイチョコに共通する特徴(写真:筆者撮影)

一連のチョコが「ドバイチョコレート」と呼ばれるようになった経緯は、単純にドバイ発のチョコだったことからシンプルなこの言葉が生まれ、定着したものとみられる。今ではドバイやトルコなどの中東、韓国をはじめ、世界各地でこのスタイルの商品が作られている。

日本でも広がるドバイチョコブーム

InstagramやTikTokといったSNSを舞台に広がったブームは、まもなく日本にも伝わる。韓国でのブームを受けて、韓国風カフェなどで取り扱いが始まった。

2025年1月には、トルコの高級ブランド「ディヴァン」が手作りする「ドバイチョコレート」が輸入・販売された。バレンタインシーズンの15日間で1万5000枚以上が完売。3月にはホワイトデー向けにホワイトチョコレートタイプも登場し、いずれもヒット商品となった。

高級ブランドのドバイチョコレートは、板チョコレートタイプで1枚3000円程度と決して安くはない。一方で、スーパーやドラッグストア、家電量販店には、中国や韓国で量産された1000円以下で買える輸入品が並んでいる。

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