わくわくして目覚める生活を、誰にでも! 医学博士 石川善樹×リクナビNEXT編集長 細野真悟

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石川 スタンディングデスクを導入した大手企業の事例があります。ここでポイントとなるのは、「良い姿勢で仕事する」ことと、それを「習慣化させる」ことです。この企業の場合、始めは新鮮さもあって、みんなスタンディングデスクを使っていましたが、数日経つと、すっかり使われなくなってしまった。理由は簡単です。デスクに座って作業する方が習慣化しているから、突然そんなことをしても定着しないんですよ。

細野 やはり習慣化が重要なんですね。良い姿勢で仕事をするメリットは何ですか?

石川 姿勢がいいと呼吸の通りがよくなり、超集中状態のゾーンを作りやすいんです。逆に姿勢が悪いと、肺がつぶれてストレスがかかります。呼吸が浅くなって集中しにくかったり、イライラしやすくなったりするんです。

「姿勢」については、クラウド名刺を提供するSansanの事例がいい例です。同社では、仕事の能率を上げるための社員の健康づくりとして、まず姿勢を矯正するところから入ったそうです。

実は、ノートPCで正しい姿勢をとるのはほぼ不可能です。首が前傾したり、背もたれに寄りかかりながら、腰を前方に突き出す悪い姿勢になってしまうからです。これだと、肩や首、腰に負担がかかります。ですので、PCはデスクトップ型にするか、もしくはノートPC用に外付けのキーボードを買って、膝の上に置いて作業するのがおすすめです。僕の経験上、これだけで、肩凝りがかなり改善されますよ。

細野 肩凝りや腰痛は現代ビジネスマンの職業病ですよね。パフォーマンスを上げるカギが姿勢にあるとは、あまり意識していませんでした。

石川 ある大型スーパーでは、スタッフにベルト着用を義務づけ、姿勢を意識させたそうです。良い姿勢をとるには、単に背中を伸ばすのではなく、丹田(腹筋)に力を入れるのがポイントなので、お腹にベルトを着けることは効果的だと思います。

細野 理にかなっていますね。これまで国内外で、オフィスでの健康づくりについて、何かめざましい研究結果は発表されているんですか?

石川 残念ながら、アメリカなどの一部の大企業で成功したもの以外では、ほとんど成果が上がってないのが現状ですね。また、これまでの特徴としては、医学の論理をオフィスに持ち込んだものがほとんどで、ことごとく失敗しています。それを思うと、ベルトなどのように、現場に根ざした身近なものの方が大事なのかもしれません。

ちなみに、仕事の能率を上げるための研究は、NASAが先駆者です。たとえば、血糖値のコントロールの重要性とか、乗組員のチーム編成をするときに、どんな性格のスタッフを組み合わせればベストかといったさまざまな研究がなされています。それに倣って、ある企業のコールセンターでは、顧客のタイプ別にどんなタイプのオペレーターが担当するのがふさわしいかを決めている事例もあります。医学というより現場の声。企業で自分たちなりに始めていることが多い。

義務化ではなく習慣化をトップダウンで行なう。現場から生まれた身近な施策が習慣となり、小さいことでも、変えていけばものすごく遠くまでいける。 健康づくりってそうなんです。

合コンなら仕事を早く終わらせますよね?

細野 たとえば今、ウェルネスの施策がふるわない企業の主な原因として、どんな問題点があるとお考えですか?

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