フランスによる「欧州の核の傘」創設・マクロン大統領にその資格はあるか、マクロンはド・ゴールになれないこれだけの理由

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2025年3月6日、ベルギーのブリュッセルで開催された欧州理事会特別会合後の記者会見に臨むフランスのエマニュエル・マクロン大統領(写真・ 2025 Bloomberg Finance LP)

前回の拙稿「EU欧州諸国に民主主義を語る資格がない現実」(2025年2月26日)では、トランプの魔術とも言えるウクライナ戦争停戦戦略について述べた。その2日後の2月28日、ゼレンスキーがホワイトハウスに乗り込み、トランプと大口論となるドタバタ演劇を見せ、ホワイトハウスからつまみ出されるという衝撃的な幕間狂言が展開された。

これについてはあちこちで語られているので、ここでは語らない。むしろ2025年3月5日20時、フランス国民に向けられた大統領マクロンの「救国宣言」の奇っ怪さについて語りたい。

「救国宣言」の奇っ怪さ

ゼレンスキーのみならず、マクロンもアメリカ合衆国を訪問し、トランプの停戦提案にあきれかえって、ウクライナ戦争支援継続でヨーロッパをまとめようとヨーロッパ救国宣言を発した。

この救国宣言とは、「フランスの核抑止力で欧州の同盟国を防衛する戦略的議論を始めると決めた」という内容だ。フランスにある核で「欧州の核の傘」で防衛し、その核でロシアの核攻撃を抑止しようという。

マクロンという支持率の低い大統領、そしてバイルというスキャンダルで揺れる首相、いずれもすでに多くのフランス国民の信頼を裏切っていて、救国どころか自らの地位の命乞いをしなくてはならない状態だ。

2025年1月の世論調査では支持率が21%と、2017年の大統領就任以来最低を記録している。それでもマクロンは、演説で次のように語った。

「ロシアは、将来のフランスそしてヨーロッパの脅威となった。――こうした危険な世界に対して、傍観者であることは愚かなことだといえよう。ウクライナに対する決定を一刻も遅らせてはならない。それはフランスとヨーロッパのためである。――ロシアの独裁者のもとでは、平和など、どんな犠牲を払ってもなしえることではない。――今日、ロシアの発言を信用することなどできない」

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