フランスによる「欧州の核の傘」創設・マクロン大統領にその資格はあるか、マクロンはド・ゴールになれないこれだけの理由

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マクロンは今、フランス人に「ロシアとの参戦」を呼びかけているが、この戦争はまだ第3次世界大戦と言えるものではない。局地的戦争にすぎないのである。

停戦を呼びかける一方で、「世界戦争へ拡大させたい」というのは解せない。しかも、戦争しているのはフランス人ではなく、ウクライナ人とロシア人なのだ。

独裁者相手なら戦争してもいいのか

「相手が独裁者ならば、戦争してもいい」という大義名分が通ると、マクロンは言うのだろうか。

理想のために国民の命を犠牲にすることは必要なのか。まして支持率の低い大統領が、国民に呼びかけることに、どれほどの意味があるのか。アメリカの抜けたNATOで戦争継続は果たして現実的に可能なのか。

少なくともクレマンソーとド・ゴールの徹底抗戦の決意は各世界大戦の末期のことであり、しかもそのときはアメリカ軍の支援が得られていたのである。

マクロンはかつて社会党という組織にいた人物である。フランス社会党の創設者の1人ジャン・ジョレス(1859~1914年)を知らないわけがないだろう。

ジョレスは、第1次世界大戦を避けようと努力した人物だ。その彼は1914年7月31日、反戦努力をするために立ち寄ったカフェで凶弾に倒れた。その直後に、戦争が始まったのだ。

マクロンにとって、まずはジョレスのように平和への道を模索することが先ではないだろうか。 

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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