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技能実習生の定着図る「福井クラス」の画期的な成果 「地方にいかに残ってもらうか」方言も武器に

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  • 西垣 充 ジェイサット(J-SAT)代表

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ミャンマー・ヤンゴンの日本語学校で実施中の「福井クラス」。福井県の文化や方言までも学び、現地での生活に備えている(写真・西垣充)

「かたいけの~」と声をそろえて練習するミャンマー人たちの声が、ミャンマーにある日本語学校の教室に響き渡っています。「かたいけの」とは、福井弁で「お元気ですか?」という意味です。笑いの絶えない授業がミャンマーの日本語学校で行われています。

これは、福井県が2024年から始めた、福井県で働く予定のミャンマー人が地域に定着できるよう支援するユニークな試み「福井クラス」の授業のひとコマです。

「福井クラス」は、全国の自治体の中でも先駆的な取り組みとして、開講当初から大きな注目を集めました。地元新聞ではトップ記事として取り上げられ、2024年末には全国ニュースの特集でも報道されるなど、大きな反響を呼んでいます。

「福井クラス」はどのようにして誕生したのか。そして、その深い仕掛けとは何なのか——。今回は、その背景に迫ります。

「ミャンマーに助けられた」理事長の思い

福井県内で3つの介護施設を運営する社会福祉法人新清会(福井市)の吉田新内・理事長は2018年、ミャンマーから介護技能実習生を受け入れるためミャンマーを訪れました。その訪問前にたまたま受けた血液検査で、初期段階では発見が困難と言われる膵臓がんが見つかります。

自身の命が「ミャンマーに助けられた」と感じた吉田理事長は、「外国人に選ばれる福井」を実現することを使命と考えるようになりました。

新清会には2019年に、5人のミャンマー人介護技能実習生が来日しました。面接では、長期的に勤務してもらえることを重視し、福井県の特徴を説明したうえで、納得した人材を選びました。

来日後、彼らは皆優秀で、日本人社員や施設利用者からの評判もよかったため、3年間の介護技能実習期間を終えた後も、会社として特定技能の在留資格に切り替えて残れるようにさまざまなサポートを行いました。しかし、最終的には5人のうち4人が都市部の介護施設へ転職してしまいます。

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