技能実習生の定着図る「福井クラス」の画期的な成果 「地方にいかに残ってもらうか」方言も武器に

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後になってわかったことですが、当時利用していた監理団体の通訳が、彼らに都市部への転職を勧めていたようです。監理団体の日本人スタッフにはミャンマー語を理解できる人がいなかったため、その状況を把握できていなかったようでした。

残った1人は、もともと外で遊ぶことがあまり好きではなく、休みの日は家で1人ゆっくり読書をしたり、テレビを見たりして過ごすタイプの人でした。

ミャンマーにいた頃から、このような生活スタイルを続けていたそうですが、同僚たちが次々と都市部へ移っていく中、彼女は都市部への転職を「自分には合わない」と考え、特定技能に切り替えて福井に残ることを選びました。

福井県知事の決断

新清会では、1期生での反省を踏まえて採用方法や研修方法を見直し、2022年に2期生4人、2023年に3期生5人、2024年には4期生7人を受け入れています。

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吉田新内・理事長(中)と介護技能実習生(写真・新清会提供)

2020年「ミャンマー人が介護施設で活躍している」といううわさを聞いた福井県庁から、「ミャンマー人の話を聞きたい」との要請が吉田理事長のもとにありました。そこで、ミャンマーで介護人材を育成するJ-SATの森川晃ゼネラルマネージャーとともに説明に訪れました。偶然にも福井県の杉本達治知事と面談する機会を得ました。

介護施設で働く優秀なミャンマー人の採用プロセスや受け入れ方法、さらにミャンマーの国情について話を聞いた杉本知事は、優秀な外国人材から福井県が選ばれるよう、すぐに行動を起こしました。

翌日には、福井県庁の土木部、健康福祉部、産業労働部などの課長らに対して、森川氏が日本に来る外国人の本音や、各地方で起こっている外国人材の問題点などを説明します。

「福井県内の介護施設では、外国人に頼らざるをえない状況が訪れている」と実感していた吉田理事長は「介護施設で外国人受け入れを広げるためには県の支援が不可欠」と考え、「福井県庁も参加するような仕組みを介護分野で作れないだろうか」と、福井県庁に相談しました。

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