「シャブ買うならカマ」と言われた大阪・西成の変貌 違法薬物の摘発は10年で362人→37人に激減
釜ケ崎の公園にあふれていた不法投棄のごみは目立たなくなった。車道に放置された自転車もめっきり減った。かつては「シャブを買うならカマ」とも言われたが、主要な交差点に立っていた密売人も見かけなくなった。あちこちに防犯カメラも設置された。
大阪府警によると、釜ケ崎が絡んだ違法薬物事件で逮捕・書類送検された容疑者は2013年に362人だったが、2023年は37人に激減。摘発の効果に加え、SNSなどを使った密売が中心になったことが背景にあるとみられる。
通学路の安全対策として、路上の違法露店の取り締まりも強化された。医師の処方が必要な睡眠導入剤や向精神薬、わいせつな裏DVDなどを売る露店が多かった。

生活保護の受給率は4割超え
2009年ごろまでは多いときで約300店が並んだが、再三の摘発で今は多いときで約20店に減少。2024年6月には無許可で向精神薬を売ろうとしていたとして男が逮捕されるなど、いまも摘発が相次いでいる。
「労働者のまち」としての性格も変わりつつある。
釜ケ崎にある公益財団法人「西成労働福祉センター」が仲介した日雇い(現金日払い)求人数は、2023年度は延べ約16万4000人。バブル期だった1989年度の約187万4000人から激減した。センターを介さないネット求人が増えたことも影響しているという。