「シャブ買うならカマ」と言われた大阪・西成の変貌 違法薬物の摘発は10年で362人→37人に激減

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バブル期に3万人超だった釜ヶ崎の人口も2020年には2万106人まで減り、平均年齢は60.29歳。65歳以上が占める高齢化率は4割を超える。

【2025年3月12日13時55分追記】初出時、釜ヶ崎の平均年齢に誤りがありましたので、上記のように修正しました

生活保護の受給率は4割を超え、高齢の受給者の多くは、支援者付きの福祉マンションなどで暮らしている。その部屋で死亡し、身寄りがないため、家主らが葬儀を執り行うケースも少なくない。

「貧困ビジネス」が横行

深刻なのが、平均寿命の低さだ。全国の市区町村別の2020年時点の平均寿命は、男女ともに西成区が全国で最も短い。特に男性は73.2歳(全国平均81.5歳)だ。

40年余り日雇い労働者を続け、釜ケ崎の研究をしている地域史研究家の水野阿修羅さんは「福祉、求職、高齢化、孤独死、人口減……。カマは社会のひずみが凝縮された『日本の縮図』だ」と語る。

西成DEEPインサイド
『西成DEEPインサイド』(朝日新聞出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

特区構想が始まって10年以上。まちがきれいになり、外国人バックパッカーも増えたが、課題も多いと受け止めている。その一つが、生活保護受給者らを囲い込む「貧困ビジネス」の横行だ。

他のマンションにいる住人に対し、お金や食事の提供を持ちかけて転居を促し、業者間でトラブルになるケースも出ている。「転居後、体を壊しても支援してもらえないケースも耳にする。行政はこういう部分も丁寧にみないといけない。改革は道半ばだ」。

新著『西成DEEPインサイド』では、西成で居酒屋を開いた元横領犯、日雇い歴45年の「アシュラ」氏など、西成に生きる人々の話を収録している。

市原 研吾
いちはら けんご / Kengo Ichihara

記者になって四半世紀余り。朝日新聞社入社後、福井、和歌山、兵庫、大阪で主に事件を担当。投資詐欺や組織犯罪の取材に力を入れる。現在は大阪社会部の遊軍(何でも屋)。ダイナマイトを使った「ノミ行為」摘発の取材がきっかけで釜ケ崎かいわいに通うようになった。

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矢島 大輔
やじま だいすけ / Daisuke Yajima

2007年、朝日新聞社に入社。秋田、東京、沖縄、大阪で勤務。伝統的な祭りや習俗、経済事件、教育、災害、沖縄の基地問題などを取材。24年からは東京社会部で、防衛省・自衛隊を担当している。ディープな世界に関心があり、西成に通うことに。ほかに、市原記者との連載「探られた裏アカ〜就活の深層」がある。

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