「減税」と「教育無償化」では日本経済は復活しない 「ポーランド以下」となる1人当たりGDPを高めよ
私は、国民民主党が主張している「減税によって手取りを増やす」政策は、ほとんど効果がないと考えています。
日本の低所得者と定義される人の大半は最低賃金で働いている人ですが、その多くは高齢者と40代以上の女性です。その女性たちも、大半が比較的高い所得を得ている男性の妻であるため、基礎控除を引き上げても、消費性向が低い層に最も大きな減税効果が集中することになります。
より本質的に考えると、常識的な人は「賃金が上がって手取りが増える」状況を肯定し、消費を増やします。しかし、賃金が増えていないにもかかわらず、巨額の累積財政赤字を抱える国において減税によって手取りが増えた場合、多くの人は「どうせ後でまた増税されるだろう」と考え、貯蓄を増やすだけです。
企業の利益が増えるだけでは、賃金は増えない
実際、安倍政権以降、企業は徹底的に利益を拡大しながらも、設備投資も賃上げもせず、内部留保と配当を大幅に増やしてきました。
昔、リカードの等価定理を学んだことを思い出しました。AIで調べたところ、以下のような説明が出てきました。
【概要】
• 政府が歳入を賄うために課税するか公債を発行するかは、人々の消費行動に影響を与えない。
• 政府が景気刺激のために減税を行い、その財源を国債で賄った場合、家計が将来の増税を予想すると、減税は景気を刺激しない。
この定理にはさまざまな問題が指摘されていますが、これまでの日本経済、企業の動向、個人貯蓄の動向を見ると、非常に興味深いものです。
しかし、減税によって失業率を下げ、景気が回復するという単純な概念や願望は、現在の日本の人手不足の状況には当てはまりません。そのため、減税の効果が期待できないという現実を認めなければなりません。
簡単に言えば、積極財政派の人々は人口減少を無視し、あたかも経済成長が100%政府のマクロ政策によってコントロールできるかのような妄想をしていると思います。彼らは、「経済成長率は政府の意向次第で自由に変えられる」というマクロ政策至上主義に基づいています。しかし、1990年以降、日本政府が巨額な赤字財政を増やしてきたのにもかかわらず、日本経済は成長していません。その理由は、企業が内部留保を大幅に増やし、このマクロ経済至上主義が誤りであることを示してきたからです。
減税の効果を主張する人は「減税を行えば物が売れ、企業の利益が増え、賃上げが実現し、さらに物が売れる」と主張しています。これは一般的な理想論としては理解できますが、第2次安倍政権以降、大企業・中堅企業・小規模事業者の利益がすでに大幅に増えているにもかかわらず、賃上げが行われていないという現実を無視した、非現実的な夢物語に過ぎません。

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