「食べ尽くしさん」と「確保さん」食を巡る人間模様 食卓に表れる無意識の行動と家族の力学を考える
ある人は、夫が冷蔵庫にあるお菓子を勝手に全部食べてしまうので、「これは確保しないと」と思い、自分の分を野菜室にこっそり隠すようになったという。この行為にも、家庭内の力学が影響していると考えられる。
例えば、兄弟が多い家庭では早い者勝ちの文化が根付いていることが多く、自然と「確保」の習慣が生まれる。一方で、兄弟が少ない家庭では、「食べ物を確保するのは卑しい行為」と教えられることもある。
対策は「怒る」より「ルール作り」
食べ尽くしさんに困る場合、単に怒るのではなく、ルールを工夫するほうが建設的だ。食べ尽くされる状況が発生しないようにしてしまえば、食卓を囲む人たちが不愉快になることはない。
・最初に個別に取り分ける
・「1人○個まで」と明示する
・大皿を出す頻度を減らし、個別盛りにする
・食べ尽くされるのが嫌なら「確保する」
実際、食べ尽くし問題に悩んでいたある家庭では、大皿をやめ、1人ずつワンプレートで提供するようにしたところ、夫の食べ尽くし、子どもの好き嫌いを防げるようになり一石二鳥だったという。
家族の食事は、楽しむべき時間である。食べ物の配分でイライラするのではなく、ルールを決めて解決できるなら、それに越したことはない。工夫することで、「食卓のストレス」は大きく減るのだ。
食卓には、家族の関係性が凝縮されている。「食べ尽くしさん」と「確保さん」という存在は、単なる食事の習慣ではなく、家庭ごとのルールや価値観を映し出している。
「食べ尽くし」に関して興味深いのは、当人以外への影響が色濃い点だ。「食べ尽くし」という行為は、本人よりも、周りの人の価値観を揺さぶってくる。「なんでこんなことをするんだろう」。
私自身も、食べ尽くしだった父や弟を見ていて、自分の家庭を持ってからは、「食べ尽くしの再生産」を止めるべく、息子たちに食事時の声がけをするようになった。まずは自分の皿のものを食べる、おかわりが欲しいなら、人の分に手を出すのではなく「おかわり」を要求するように教えた。
もし、家族の食卓で「なんで私の分がないの!?」と思ったら、それは家庭内の力学を見直す良い機会かもしれない。そして、食卓のルールをどう作るかが、その家庭の文化を形作っていく。小さな食卓の出来事が、人の生き方や考え方に影響を与えるのだから、食事のルールを少し工夫してみるのも面白いかもしれない。
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