｢DeepSeek革命→中国で進む"大変化"｣驚く実態 中国在住･北京大学MBA生の考察（前編）

 中国の医療信息情報化のリーダー企業「衛宁健康」のロゴ（上）、世界最大の電子機器受託製造サービス企業の「フォックスコン(富士康)」のロゴ（写真：著者提供）

医療業界では、中国の医療信息化のリーダー企業である「衛宁健康」が、DeepSeek技術を組み込んだAI画像診断システムを開発し、がんや心臓病などの早期発見を支援しながら、診断精度と効率を向上させています。

また、中国の健康診断業界のリーダー企業である「美年健康」は、DeepSeekを活用して健康管理サービスを最適化し、個別化された健康アドバイスを提供することで顧客満足度を高めています。

さらに、深圳大学附属华南医院では、DeepSeek R1を私有化導入し、医療画像診断や臨床データの処理能力を向上させ、診断のスピードと精度を大幅に改善しています。

製造業界では、世界最大の電子機器受託製造サービス（EMS）企業で「フォックスコン（富士康）」が、DeepSeek技術を組み込んだスマートフォン組立ラインの最適化により、生産効率を15%向上させ、コスト削減と生産スピードの向上を実現しました。

また、中国を代表する自動車メーカーの「吉利汽車」では、DeepSeekのAI技術を活用し、自動運転機能の開発を加速することで、車線維持や自動駐車機能の実現を進め、製品の競争力を強化しています。

行政も導入し、効率化を進めている

行政においても、たとえば中国の行政デジタル化を推進する深圳市福田区が、DeepSeekを活用して公文処理を自動化し、労働仲裁文書の作成時間を数時間から1秒に短縮することで、行政の効率化を進めています。

広州市でも、DeepSeekを活用した市民向けの政策解説システムや12345ホットラインの業務を効率化し、行政サービスの質を向上させる取り組みが進められています。

さらに、深圳市龙岗区では、DeepSeekを用いて市民の要望を分析し、迅速な対応を可能にすることで、行政サービスの満足度向上を実現しています。

また2月21日までの間に、「中国の国有企業の45％がすでにDeepSeekのオープンソフトのソフトウェアを導入した」という報道もあります。

これらのことがわずか1カ月ほどの期間で起こりました。

これらは事例の一部にすぎず、日を追うごとにDeepSeekを利用した新しい事例がさまざまな領域で、いまもなお急速に増えつづています。