電通を襲った再びの悪夢、「世界進出」の落とし穴 M&A連発の海外で巨額減損、過去最大赤字に
グループ組織のスリム化も重要となる。東京とイギリスのロンドンで分かれている本社機能の統合や、各国支社の簡素化、業務自動化に向けたAI・システム投資などを推進する。2025年12月期は、リストラなどに伴う約500億円の構造改革費用を計上する見込みだが、2027年12月期には同規模の販管費削減が期待されるという。
曽我有信副社長は「最大の課題は、1兆2000億の売上総利益が上がりながら、利益を上げられない事業構造」と振り返り、「構造改革をやり遂げたうえで、1兆2000億の売上総利益を適切に支えるリーンな組織を作り上げる」と述べた。オフィス機能の集約は、広告とDX・コンサルの一体提案を加速させるというグループ統治の面でもプラスに働くだろう。
アメリカ事業トップが電撃退任
ただ、2023年夏からdentsu Americas CEOとしてアメリカセグメントの軌道修正を進め、今期の続投も発表されていたマイケル・コマシンスキ氏が、年明け早々に電撃退任。電通グループ副社長のジュリオ・マレゴリ氏がCEO代行に就くなど、足元はおぼつかない。
日本でも気を抜く余裕はない。世界2位の広告会社でもあるコンサル大手・アクセンチュアの日本法人は、2023年にPR会社のシグナルを買収するなど、マーケティング領域を強化している。業界関係者の間では、「アクセンチュアがさらなる買収を仕掛けて、広告枠の調達機能を埋めに来るのではないか」という声も上がる。
グループが抱えるのれんは2024年末時点でも、7000億円近く残っている。2度あることは3度ある。そんなジンクスを打ち破れるか。日本モデルの世界展開がカギを握るという意味では、電通グループの真価が問われることになりそうだ。
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