「給料の額=人の価値」という考えが招いた大問題 「トランプ無双」を後押しするエリートへの憎悪

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――リベラル派やエリート、あるいは民主党は、自分たちを見捨てたり、見下したりした人々の怒りに対処するために何もしてこなかった?

試みはしたが、部分的な成功にとどまっている。バイデン氏の功績は、民主党の能力主義的志向から脱却したことだ。彼はインフラへの大規模な投資や公共投資など、実に重要な政策を実施したし、大卒者以外にも雇用を創出し、賃金の高い仕事をすることを後押しした。労働組合や労働者の強力な支持者となることも決意した。

全米自動車労働組合(UAW)がストライキに突入したときには、彼らを支援するために現場を訪れた。民主党の多くの前任者と違って労働者階級出身であるバイデン氏は、民主党と労働者を結びつけようとしたのだ。

しかし、人々はインフレに怒っていたし、自分たちの声がまだ届いていないと感じていた。エリートは労働者の尊厳や、経済や社会への貢献の価値を尊重せず、労働者を見下していると感じていたのだ。

だからトランプ氏は、こうした不満の代弁者となり、成功を収め続けている。民主党は、かつて主要な支持基盤であった労働者階級の有権者とのつながりを取り戻す方法を考えなければならない。

トランプは1期目に何をしたのか

――トランプ大統領は、自分は見放されていると感じている人たちに対して実際に何かしたのでしょうか。

これこそがパラドックスで、本当に重要な問題だ。トランプ氏は1期目の任期を終えたとき、労働者階級の有権者や彼を頼りにしていた人々を助けるために、具体的なことはほとんどしていなかった。実際、彼はオバマ元大統領が導入した医療保険制度を廃止しようとした。

トランプ氏の1期目の唯一の大きな功績は、大規模な減税を実施したことだろう。が、この恩恵を受けた大部分は大企業や富裕層であり、一般の人には影響はほぼなかった。

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