「カスハラ」効果期待できない対策に追われる内情 「お客様は神様」という考え方を改めることが第一歩
では、企業にはカスハラに対してどういう対策を取っているでしょうか。十分な対策が取られているのでしょうか。「さまざまな対策を取っているが、十分ではない」という意見が目立ちました。
「当社でも、対応マニュアルの作成とか相談窓口の設置とか、一通りのことはやっています。ただ、会社として何もしないわけにはいかないからやっているだけで、大きな効果が見込めるとはまったく思っていません」(百貨店)
「カスハラに限らず、すべてのハラスメントは人の感じ方の問題なので、どの社員がハラスメントを感じているか認識するのは難しい。ましてやそれを予測して事前に手を打つというのは、不可能です。何か起こったら素早くもぐら叩きをするのがせいぜいですね」(遊技場)
法律・条例を作っても効果はなさそう
東京都など自治体や国が進めている対策について、感想を尋ねました。
「厳罰化によって抑止効果が出ることに期待したい」(病院)という声が一部にありましたが、「まったく期待していません」(コールセンター)という否定的な見解が大勢でした。
「セクハラだって、大昔から騒がれて法的な措置を講じているのに、被害がなくなっていません。カスハラも、法律・条例を作ったら解決するほど甘い問題ではないと思います。法律・条例は、ないよりはマシという程度でしょう」(食品スーパー)
セクシャルハラスメント(セクハラ)という言葉はアメリカで1975年頃から広まり、日本でも1999年に男女雇用機会均等法にセクハラに関する規定が設けられましたが、いまだに被害が後を絶ちません。カスハラも、根絶されることはないと覚悟したほうがよさそうです。
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