――記者は今回の戒厳令について「戒厳令事態」「戒厳令騒動」と呼んでいます。
韓国メディアは「内乱事態」と呼んでいます。韓国で人々が何かに「事態」と名付けるのは、それが悪しき事件だったというニュアンスを伝えるためです。
例えば1980年の光州事件について、当時の政権は自らの鎮圧を正当化する意味を込めて「光州事態」と呼んでいました。暴徒による騒乱だった、というイメージを伝えるためです。こうした言葉遣いは事件を人々がどう捉えているかの1つの目安になります。
「どこまでも検事」の大統領
――尹大統領はなぜ戒厳令を発したのか、その胸の内をどうみますか。
もともと尹大統領は政治経験がないままに大統領になった人。同じく弾劾訴追され大統領を罷免された朴槿恵(パク・クネ)大統領の疑惑追及で一躍、時の人となり、保守系のスターダムにのし上がった人です。国会議員にもなったこともありません。
前職は検事一筋で、その意味で、どこまでも「検事」的な人。その仕事ぶりはまず事柄に対する自分の見通しを決めて、それに合わせて証拠を見つけてきて正当化していく。ちょっと古い、権威主義体制下の検事のようなやり方です。
でもこのやり方では、最初の見通しが外れているのに突っ走ると、とんでもない「冤罪」が生まれる。尹錫悦が戒厳令宣布から繰り返している、自信満々の「陰謀論」的な世界観に執着している背後には、こうした大統領自身の思考方法が見え隠れしていると思います。
例えば、12月3日の談話の中に戒厳令を宣布する理由として「従北勢力」という言葉が使われました。これは「北朝鮮に追従する勢力」という意味で、大統領の理解では、これに左派、進歩(革新)系の人が当たるということになっています。
明らかにバイアスがかかった言葉なのですが、大統領として使ったのはさすがに初めてだと思います。まるで韓国の右翼系の主張をするユーチューバーが使うような言葉の使い方で、驚きました。
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