佐々木が一番恐れたのは、NPBで投げているうちに、靭帯を損傷してトミー・ジョン手術となることだっただろう。手術後順調に復活できればいいが、リハビリがうまくいかなかったり、復活してもパフォーマンスが低下して、MLBに挑戦できなければ、彼の「夢」は水泡に帰してしまう。そうならないうちに、一刻も早くMLBに移籍したい、そのためならマイナー契約もいとわない、という気持ちかもしれない。
ただ、そうであるならば、チーム、とりわけ彼の成長をずっと見守ってきた吉井理人監督(佐々木入団時は投手コーチ)と、そうした彼の事情、彼の気持ちについてしっかり話をしていたのか、という疑問は残る。吉井監督は、佐々木朗希の移籍騒動に際しては、否定的なコメントもしていたのだ。
結局、球団もポスティングシステムでの移籍を認め、入札の結果、ドジャースへの移籍が決まった。
球速アップと手術数の関係
ただし、そこまでの思いで移籍したにしても、佐々木朗希は、MLBに移籍して、靭帯再建手術を受けるような故障をする可能性もある。
MLBでは近年、投手が肘の靭帯を損傷してトミー・ジョン手術などの靭帯再建手術を受ける事例が急増。2023年はマイナーリーガーも含め263件の手術が行われた。これは2011年の2倍以上の数字だ(週刊ベースボールONLINE「肘のケガでエース級が相次ぐ離脱 要因についてMLB機構と選手会が対立」)。
MLBでは投手の球数は厳格に制限されている。それでも手術が急増しているのは「投球強度=球速」が上がっているからだという。
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