急勾配区間多い「都電荒川線」意外に大きな高低差 駅ごとにどのくらいの差があるのか調べてみた
そのような地形のため、東から西に向かうと必ず坂道を登ることとなるほか、台地部分は山から流れてきた川により浸食した部分も多く、低地と高台が複雑に絡み合っている。渋谷はその典型で、渋谷川により低地となったため、青山の高台の地下を走ってきた地下鉄銀座線が、渋谷に到達すると山手線よりも高い位置となっている。もちろん、仮に渋谷を過ぎて西に進めば、目黒区の高台の地下を走ることとなる。
江戸時代になると、道路の整備が進められたが、地形に逆らわずに敷設されたため、多くの坂が誕生した。
かつての東京中心部には、都電が網の目のように走っていたが、道路上の併用軌道のため、多くの急坂を行き来していた。地下鉄銀座線の終点・渋谷駅は、以前は東急百貨店・東横店の3階部分に設置されていたように、青山から渋谷へはかなりの下り坂で、国道246号線の宮益坂上交差点から渋谷駅前までの金王坂約200mは66.5‰の下り勾配で、この区間を走る電車は、頂上部分でいったん停車し、前方を走る電車の位置やブレーキの圧力などを確認して下っていたと聞く。66.5パーミル、つまり1000m走ると66.5mの高低差が生じるという勾配は、かつての信越本線・横川―軽井沢間の碓氷峠の66.7パーミルに匹敵する。さぞや運転士も緊張の面持ちだっただろう。
現在唯一残る東京さくらトラム(都電荒川線)は、低地の三ノ輪橋―王子駅前間から武蔵野台地の高台に向かうため、王子駅前―飛鳥山間には66.7パーミルの急勾配があるうえ、坂の途中にカーブもある。しかし、運転手の技術は非常に巧みで、安全に急坂を登り下りしている。
この勾配は色々なメディアでも取り上げられてよく知られているが、この先も、川により浸食した低地があるため、意外と勾配が多い。
どのぐらいの高低差と勾配があるのか、標高との関係を見てみよう。

王子駅前―飛鳥山間は約10mの高低差
王子駅前は約6m、飛鳥山は約16mで勾配は66.7パーミル、勾配区間は約200m前後、約10mの高低差がある。本当に合っているのか、三角形の計算式に当てはめてみると、勾配区間の距離約150mとなった。これは直線で結んだ距離のためで、線路がカーブしている分を含めれば、概ね間違いはないようだ。
滝野川一丁目は約17m、西ヶ原四丁目約25m、新庚申塚約26m、庚申塚約25mと高くなっているが、次の巣鴨新田約19m、大塚駅前は約18mと低くなる。これは、谷端川により台地が削られ低地となったためで、旧・日本鉄道が建設した山手線も大塚駅付近が築堤となり、高台の池袋と巣鴨を結んでいるのがわかるだろう。この谷端川は現在暗渠となり、地下を流れている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら