「前2輪」のユニークな形状で走るRaptorの可能性 街中の走行で快適かつ安全な移動手段を追求

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日本のベンチャー企業のプレゼンテーションを見ていると、出資者であるVCの方が必ず伝家の宝刀のように「マネタイズはどうするんですか?」と聞いてくる。金を握っている自分のほうがエライと思っている。ビジネスである限りどうやって利益を上げるかを考えるのは大切だが、最初に「マネタイズ」を考えるとスケールの小さなビジネスにしかならない。まずは正しいプロダクトなのか? 多くの人を幸せにできるのか? を追及したほうが、遠い目標に到達できることもあるのではないか?

実は、レーシングマシンのパーツを作るのが本業

前2輪の3輪なので、とても安定性が高い。バッテリーは胴体下部に載っていて交換可能。車体はリーン可能で、前輪はステリング操作で、2輪とも操作可能。

Raptor試乗
同社テストコースで試乗させてもらった。テスト走行なので、いちおうレザースーツを着ているが、Raptor自体は気軽に乗れる乗り物だ(著者撮影)

本体は上下に分割可能で、ステアリング操作と、ブレーキの操作は物理的なリンクを介して下のシャシー側に伝わるようになっている。スロットル操作などは電気的に伝わる。それらの接続をすべて一括で行うことができるようになっているのがユニークなところ。

シートを低く、ステアリングを高くすることで、スクーターのように誰でも操作できるようにすることもできるし、シート高を上げて体重移動中心で操作するようにもできる。極めて理にかなった構造になっている。

試乗
高価な試作マシンなので、緊張して試乗。ボディを換えて、ライディングポジションが変わると、操縦性がまったく変わるのが面白かった(著者撮影)

さらに、工場横に作られたこのテストコースで頻繁にテスト走行を行って操作性のチューニングをすることもできる。

実は、RDSの祖業はレーシングパーツの製作。

守秘義務があって多くは語れないようだが、F1チームのトロロッソからクリスマスプレゼントとしてもらったフロントウィング(これ自体がRDSの製品というわけではなく、スポンサーロゴが入っている部分をプレゼントされたもよう)や、現在日本人唯一のF1ドライバーである角田裕毅選手の個人スポンサー……というあたりから察するしかなさそう。

本社
埼玉県大里郡寄居町にある本社。農村風景の中に、突如ハイテクなファクトリーが現れる(著者撮影)

現社長である杉原さんは、父が創業したレーシングマシンのパーツを製作する会社を継ぐために15歳で単身渡英。イギリスの全寮制高校を経て大学でプロダクトデザインを専攻した。

現在RDSは、レーシングマシンや、自動車メーカーのプロトタイプ製作を通して、デザイン、設計、新素材の開発、クレイモデル、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)成形、3Dプリンターなどによるモデルの製作、3Dモデリングデータ製作、構造解析などを行う企業に成長している。わかりやすくいえば、単価が非常に高くなったとしても必要な、高強度、高精度な単品モデルの製作に特化した企業だ。

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