92歳の女性評論家が「80歳で調理定年」を勧める訳 「総菜、外食、人に頼る」の工夫3つで快適な食を

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もし、出かける元気があれば、友だちと外食を楽しむのもいいし、自宅に招いて、持ち寄りでも出前を取ってもいいので、ランチ会を開くのもいいと思います。

「同じ釜の飯を食う」ことで孤食を防ぎ、会話を通して人とのつながりができれば、体調の悪さも吹き飛ぶでしょう。

健康的な食事を取り戻し、生きるエネルギーに

昭和30年代に結婚して数年間、夫の転勤先の社宅で私が専業主婦をしていた頃のこと。

あるお宅で母親が娘に、「あなたは女だからがまんして、お兄さんと弟に(食べ物を)あげましょうね」というのを聞き、まだ家父長的な発想をする人がいるのかと、ショックを受けました。

主婦と呼ばれる女性は、高齢になるまで「食生活の中心」にいたようにみえますが、それは食事の提供者としての「中心」でした。

老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント
『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(清流出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

家族の都合によって自分の食事がおろそかになったり、お昼ご飯は残りものですませるのが習慣になっていたりと、案外、主婦自身の「食」はいい加減だったのだと思います。

健康的な食生活を取り戻すには、やはり「トモ食い作戦」で、ご飯友だちを増やすのが有効です。家でご飯を食べられない子どものために「子ども食堂」があるように、1人暮らしの高齢者のためにも、もっと気楽な「じじばばカフェ」があればいいなと思っています。

1つの小学校区に一か所ずつくらい、高齢者が集まって、食べたり話したりできるような場所を作れば、そこが人との出会いの場にもなります。もしかしたら、散歩や趣味の仲間もできて、孤独感が薄れるかもしれません。

食をともにする機会が増えることは、人とのつながり、社会とのつながりを生み出し、それが生きるエネルギーになることは、間違いありません。

注1:農林水産省「令和5年度食育推進施策(食育白書)」2024。「図表2-3-4 低栄養傾向の者の割合(65歳以上・性・年齢階級別)」では、BMI20・0㎏/㎡以下を低栄養傾向の指標として設定している。

注2:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」2024

注3:農林水産省「平成29年度食育推進施策(食育白書)」2018

樋口 恵子 東京家政大学名誉教授/NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」名誉理事長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ひぐち けいこ / Keiko Higuchi

一九三二年東京生まれ。東京大学文学部卒業。時事通信社、学研、 キヤノン株式会社を経て評論活動に入る。著書に『老~い、 どん! あなたにも「ヨタヘロ期」がやってくる』『老いの福袋 あっぱれ!ころばぬ先の知恵88』などがある。

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事