飼い主が切望「泡を吹いて死んだ」愛猫の死の真相【再配信】 獣医病理医がすすめない「ネコの飼い方」の結果

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そんなネコが急死したとなると、可能性が高いのは、何らかの毒物を摂取したということになります。ぼくのところに遺体が持ち込まれてくる外飼いのネコに最も頻出する死因が、外傷と並んで誤飲と中毒です。

ネコに舐められたことがある人はおわかりかと思いますが、ザラザラしていてちょっと痛いですよね。

というのも、ネコの舌には細かい無数のトゲ(正式には糸状=しじょう=乳頭といいます)が生えています。そのため、口にしたものが引っかかりやすく、持ち前の好奇心でくわえたものをそのまま飲み込んでしまいやすいのです。

また、ネコは舌で毛繕いをする習性がありますから、その際に屋外で毒物にさらされた被毛を舐めてしまうということがよく起こります。ネコの体には人間やイヌが持っているような薬物や毒物を代謝するある種の酵素がないということもあり、中毒から死に至ることが珍しくありません。

このとき、茶トラのネコが中毒を起こした毒物の種類まではわかりませんでした。死亡したのが人間でしたら、科学捜査研究所(科捜研)などでより詳しい分析が可能なのでしょうが、動物について、毒物の精密な分析ができるような機関は国内にはほとんどありません。

おまけに自由に出歩くことができる外飼いのネコの場合、外でどのような毒物にさらされたのか飼い主が見ていないので、判断がとても難しいのです。

摂取した毒物は農薬か除草剤?

獣医病理医として、死亡した動物の胃の内容物や、毒物が含まれている可能性のある肝臓、腎臓、筋肉、血液などのサンプリングはします。しかし、その段階で原因が明らかにならなければ、そこが現状、病理検査の限界であることは多いのです。

ただ、このネコが飼われていたのは周囲に田んぼが多い地域であり、日常的に家の外を出歩いていたとのことですから、ぼくの経験上、原因となった毒物は農薬か除草剤、あるいは何らかの有毒植物ではないかと推測できました。

農薬はともかく、近年製造されている除草剤は生体への害は少ないのですが、農業の現場では、数十年前から農家さんが所持されていた毒性の強い除草剤や殺虫剤がいまだに廃棄されずに保管されていることがあります。

茶トラのネコがこれらの物質で中毒を起こし、急死した可能性は十分に考えられます。

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