夢の中に出てきた音楽をそのままCDに
韓国で初のノーベル文学賞を受賞した小説家ハン・ガンさん(53)は、歌手デビューをしたわけではないが、シンガーソングライターとしての活動をしたことがある。2007年に発売した散文集『そっと 静かに』の巻末付録CDに収録された10曲を作詞・作曲し、直接本人が歌ったのだ。
このCDには、木に対する畏敬の念を歌った「木はいつでも私のそばに」や、「夜明けの歌」「日の光ならいい」「静かに歌う歌」などが収録されている。
実際に歌うのは別の歌手を起用することを望んだが、ハン・ガンさんの友人で音楽監督のハン・ジョンリムさんが強く押し、本人が録音までした。
楽譜の書き方は知らない。ただ、頭の中に浮かんだメロディーを録音しておいた。それを専門家がピアノ、チェロ、ベース、オーボエなどで編成して演奏された。
ハンさんがCDを出したのは、「急に夢の中でとある音楽が聞こえてきて、これをCDにすることになった」と打ち明けている。
ハンさんがCDを作ることになったのは2005年、『菜食主義者』の第3部を書いていた時だった。ある日夢の中でとある音楽が聞こえ、朝起きてから「変な夢だった」と思いながらも、この音楽を記憶し、歌を作った。ハンさんは「詩を書くように文章を前後に広げてみたら歌になった」という。