燃料供給不足、背景に海外航空のドタキャン問題 空港会社や国も動いているが、解消できるのか

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石油元売りは石油製品の長期的な需要減を見越して製油所の閉鎖を進めているが、ジェット燃料の供給量は2023年度ですでにコロナ禍以前の水準に回復している。また、不足分はこれまでもその都度、韓国などから輸入してきた。つまり、今回表面化した燃料不足は供給量の問題ではない。

「元売りは年間計画で輸送体制を組んでいる。そこにインバウンドが急増し、人員や機材が手当できない。空港までの輸送体制が足りておらず、急なニーズになかなか対応できていない」。経済産業省資源エネルギー庁 燃料供給基盤整備課の永井岳彦課長はそう話す。

タスクフォースでは、タンクローリーや燃料を運ぶ内航船の乗員不足、荷主となる石油元売りの系列化が進んだことで、いわゆる「フリー船」が減少し、輸送体制が硬直化していることも話題に上った。

確かに人手不足は輸送力のボトルネックになっている。ただ、輸送体制の系列化については「内航船大手は系列をまたいで石油製品を運搬しており、年間契約で船を動かしているにしても、需給にばらつきが出れば社内で調整するはず。そもそも燃料需給にばらつきが出れば系列間で調整している」(経産省幹部)。

船の数に余裕がないという根本的な問題はあるが、「系列化で硬直した輸送体制」が問題の本質ではないようだ。

最大の問題は「ドタキャン」

国内のエアラインは通常、半年から1年前には石油元売り各社あるいは給油会社と調整を始める。「JALやANAから燃料が欲しいと言われれば、なんとしてでも調達する」(元売り関係者)。ただ、元売りは基本的に年間で需要予測を立て、燃料供給体制を組んでいる。

一方、海外のエアラインは運航希望日の2〜3カ月前に就航をリクエストするケースもざらだ。が、ある石油元売り幹部は「2カ月前までならなんとかできるケースもあるが、それを過ぎると追加のタンクローリーや船を手配するのは難しくなる」と実情を語る。

海外LCCよっては、就航リクエストが運航予定日の2か月前で、燃料調達などの調整を50日前までに行ったものの、40日前になって就航を突然キャンセルする事例も見受けられる。これが繰り返されると元売りも半信半疑になり、船やタンクローリーの手配に慎重にならざるを得ない。

タスクフォース関係者は「あるアジア系のLCCは複数空港にオファーを出しておいて、需要を見ながら就航先を決めている。行かなかったところは容赦なくキャンセルする。燃料供給不足の火元は、案外同じところなのかもしれない」と話す。

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