草笛光子「美しすぎる90歳」勇気をもらえるその姿 主演映画がシニアのみならず50代にも刺さりまくり

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今、それができている最たる人は誰かと想像すると、俳優の大泉洋が思い浮かぶ。確かに彼の話も聞いていてスカッとし、そのトーク力も人気の要因である。本音なき時代にならぬよう、明るく愚痴る技術、磨いておきたい。

「次はどうするの?」

長生きはできる世の中だが、自分らしく生きるのはとても難しい。そんな現代、「人生100年時代」というワードは、ちょっとした呪いのように重くのしかかっている。

ただ、生きていれば、時代の追い風が突然吹いてくる。そして忘れた頃に主役の座が回ってくる――。この映画が見せるその希望は、シニアだけでなく、若者にとっても同じだ。一度燃え尽きた後も復活できる。人生は長いが、決して悪くない、大丈夫だと思わせてくれる。

ラスト、佐藤愛子を演じる草笛光子が見せる素晴らしい笑顔には、それだけの説得力とパワーがある。あの笑顔をスクリーンで観るだけでも映画館に行く価値あり、と力説したくなるほどだ。

90歳で現役、主役を演じる草笛光子は、令和という時代の主役の一人といっていい。2023年に発売されたスタイルブック『草笛光子 90歳のクローゼット』(主婦と生活社)についていたコピー「人生100年時代のヒロイン!」は、まさに言い得て妙である。これからさらに活躍の場が増えていくだろう。

草笛光子
スタイルブックで艶やかな写真を披露した(画像:草笛光子 公式Instagramより)

90歳の今もハイヒールで踊るという体力気力、輝きを集めたようなグレイヘアも魅力。そのグレイヘアも実は、2002年の舞台「W;t ウィット」で、役柄に合わせ丸坊主にし、それ以来、白髪と黒髪がバランスよく生えてくるようになったので、黒に染めるのをやめたそうだ。

ひとつ挑戦することで、ひとつ何かを削ぎ落とし、楽になっていく――。彼女の生き方には、そんなポジティブなサイクルが定着しているようにさえ思う。

老いとは“おっくう”ということで、若さの秘訣は、なんでもチャレンジすること。そう語る草笛光子は、『九十歳。何がめでたい』のクランクアップの際、前田哲監督に、こう言ったという。

次はどうするの?

心はもう次回作! この前向きな言葉に、人生100年を楽しむ秘訣がギュッと詰まっている気がした。100歳で主役を演じる彼女も、ありありと想像できる。

人生、何度も青春は廻りくる。

田中 稲 ライター

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たなか いね / Ine Tanaka

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し、『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人ではアイドル、昭和歌謡・ドラマ、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)、『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。

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