今年4月から5月にかけ、欧州の政治家が襲撃される事件が相次いだ。ドイツでは4月3日に東部のドレスデンで、エッケ欧州議会議員が4人組の若者に襲撃され、顔面を骨折する重傷を負い、同7日にはベルリンのギファイ前市長が暴行を受けた。さらに、5月中旬には、中欧スロバキアのフィツォ首相が民間警備会社の元職員とされる男に銃撃される事件が起きた。
それぞれの犯行動機は不明な部分も多いものの、一部の犯行では極右主義的な動機も指摘される。6月に欧州議会選挙が迫る中、これらの襲撃は、欧州各国で進む分断を象徴しているようだ。
パレスチナ情勢をめぐり緊張高まる
その一端は、イスラエルによるガザ地区攻撃にあり、欧州の地域コミュニティでは、パレスチナ情勢をめぐって、反ユダヤ、反イスラムの住民同士の緊張が高まっている。欧州には極右、極左、イスラム過激派などの過激主義が、相互に燃料を注ぐように応酬しあってきた歴史もある。
極右の台頭に限らず、地域コミュニティで過激主義が増加し、分断が進めば、移民政策や環境政策で国際的にリードしてきた欧州の足元を揺るがすこととなる。経済分野などで欧州とのパートナーシップを強めてきた日本にとって、その足元で広がる火の手を、対岸の火事とも言っていられない。
また、移民政策で「優等生」たろうとしてきた欧州のつまずきは、移民受け入れの拡大に舵を切りつつある日本にとっても、冷や水を浴びせられかねないものだ。
パレスチナ情勢が混迷を深めるにつれ、コミュニティの分断や宗教や主義の激突という形で、過激主義の波はじわじわと中東以外の地域へと波及し、今や欧州はその最前線だ。
この記事は有料会員限定です
残り 1589文字
