「DV・売春・クスリ」彼女がどん底から見た"光と影" 不適切にもで話題、河合優実主演「あんのこと」

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「河合優実さんという俳優の肉体を借りて、モデルとなった女性が向き合っていた世界を、皆で一緒に再発見していきたかった」という入江監督とともに本作に向き合った河合。

彼女自身、「この役と、主人公のモデルとなった女性を自分が守る。絶対に守らなきゃと、まず心に決めました」と語り、「彼女の人生を生き返す」という言葉を頼りに、一歩ずつ、一歩ずつ、杏の感情を探っていった。

登場人物をリスペクトして寄り添う

撮影は可能な限りストーリーに沿って進められ、またスタッフにも、カンヌ映画祭でカメラドール特別表彰を受けた『PLAN75』のスタッフが多数参加。ドキュメンタリータッチで映し出される画面や、わずかな光の変化などから、杏という女性のわずかな感情の揺れを繊細にすくい取り、登場人物の心情に寄り添っている。

「杏の尊厳を全力で守る」というつくり手たちの誠実な思いに貫かれた本作。杏の激しい傷に痛みを感じながらも、それでもなんとかその傷口をそっと包み込もうとするような、そんな優しさが胸に迫る。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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