ずんだ、佐藤の会…「羽生PA・佐野SA」の地域性 リニューアル続く「東北道・圏央道のSAPA」前編

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現在、放送されているNHKの大河ドラマ「光る君へ」では、登場人物の多くが藤原姓で視聴者が混乱するという話をよく聞く。

平安中期に権力をふるった藤原氏は、あまりに一族が増えたため、一族を区別するために、出身地やゆかりの地の地名と「藤」の字を組み合わせて、新たな名字を作ったとされている。「伊勢の藤原」は伊藤、「近江の藤原」は近藤など、現在「藤」がつく名字には、そうした由来があると言われる(諸説あり)。

こちらは佐野SA(下り)のテイクアウトコーナー。いもフライや黒唐揚げもある(筆者撮影)
こちらは佐野SA(下り)のテイクアウトコーナー。いもフライや黒から揚げもある(筆者撮影)

佐野SAには、その「佐藤の会」のグッズまで売られていたのだ。「佐」一字だけのキーホルダーやピンバッジもあり、筆者は佐藤ではないが「佐滝」なので、勝手に自分用に販売されていると解釈して、思わずどちらも買ってしまった。

地域の「情報発信拠点」としての役割

佐野SAを丁寧に観察して確信したのは、ここは佐野市にとっての「情報発信拠点になっている」ということである。佐野市にはJRや東武鉄道の駅もあるが、幹線上の駅ではないため、利用者はそれほど多くなく、駅の規模も小さい。

リニューアルを通じて佐野SAと佐野市との連携が深まり、佐野SAが市のPRに大きな役割を担うようになったのだろう。

物販コーナーの一角には、地域の工芸品である「天明鋳物(てんみょういもの)」や「間々田(ままだ)紐」「みかも焼」の展示もある。

佐野SA(下り) に展示される地域の伝統工芸品(筆者撮影)
佐野SA(下り) に展示される地域の伝統工芸品(筆者撮影)

また、全国のSA/PAに設置されているハイウェイスタンプも、SAのリニューアルに合わせて、市のシティプロモーションに取り組む高校生プロジェクトメンバーがデザインした印影を新たに採用している。

SA/PAの役割が、「ちょっと立ち寄ってすぐに通過する施設」から「じっくり楽しむ地域の拠点」へと大きく変化したことを実感した体験であった。

なお、佐野SAは上り線の方も現在リニューアル工事が始まっており、完成した暁には、またユニークな情報発信の基地になるだろう。同じ日に観察した羽生SA(上り)、菖蒲PA、蓮田SA(上り)については、後編でお伝えする。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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