人はほめすぎると増長し、評価者を小バカにするようになることもあり、適度なレッテル貼りでほめていると、よい意味でこちらの期待に沿うようになります。
部下からの仕事が早く上がってきた時には、「仕事が速いね」とタイミングよくほめてあげます。すると、部下の仕事の効率がどんどん上がっていきます。
同僚にパソコン操作を教えてもらう際には、「パソコンの達人だものね」などとひと言添えておくと、パソコン操作で困った時、いつでも頼みやすくなっていきます。
新婚当初は、奥さんの手料理がイマイチかもしれませんが、何か一品でも「これはうまいね」などとほめ続けていると、奥さんの料理の腕が上がっていきます。
なぜよい結果につながるのか
このように、同じレッテルを貼り続けてほめる「ラベリング効果」はよく知られていますが、なぜ、よい結果へとつながるのでしょうか。
自尊心がくすぐられて快感――ということもありますが、「よい人物像」のレッテルを貼られると、その人物像を継続して演じたいという「一貫性の原理」がはたらくからです。つまり、誰かによいイメージのレッテルを貼られると、つねにそういうよいイメージの人物像を演じて、レッテル通りに対応したくなるのが人間なのです。
「いつもご親切にありがとうございます」などと感謝を伝えていると、相手は自分に、つねに親切に対応してくれるようにもなるのです。
では、こうした人たちへ、こちらの要求水準をもう一段アップさせたい時には、どうすればよいのでしょうか。
相手のよいレッテルを明示してから、「だけど、〇〇の場合は、さすがのきみでも無理だよね?」などと、ほんの少し見くびるような質問を付け加えるのです。
「きみはパソコン操作の達人だけど、こういったケースの操作は難しいよね?」
「きみは料理が上手だけど、あと一品、中華風総菜を増やすのは無理かな?」
「いつものご親切には大感謝ですが、さすがにこういうのは無理でしょうか?」
こんな言い方をされると、ちょっぴり反発心が湧くでしょう。すると、「いやいや、そんなの大丈夫」とばかりに請け合ってくれるはずです。
「一貫性の原理」に背中を押されるからです。よいレッテルを貼られているので、OKしないと沽券に関わるわけです。
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