エンタメ公演トラブル「金返せ」はどこまで可能か 帝劇「ジョジョ」の公演中止で気になる返金の条件

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結局、開演は6日遅れ、7公演が中止となった。振替公演もなかった。当然、約款(チケットの裏書)に基づく公演中止の場合の返金が行われるべき事態だ。ただし、劇場に来るための移動費や宿泊費等のチケットの額面を超える補償はしないと約款にある。したがって、今回の場合もチケット代の返金だけで済ませることは規約上可能だが、東宝の対応は異例だった。

「振替公演につきましては、鋭意調整を試みましたが、この度は残念ながら実施することが難しいとの判断に至りました」とし、「公演中止発表以前にご手配済の交通費および宿泊費のキャンセル料、またはキャンセルが叶わなかったお客様は上記交通費および1公演日につき1泊分の宿泊費を、弊社で負担をさせていただきます。また、上記公演回の入場券をお持ちのお客様につきましては、本公演の配信を無料視聴いただけるよう検討しております」としたのだ。

つまり、チケット代の返金に加えて、交通費、宿泊費(1泊分)を補償し(高額であった場合に全額補償しているかは不明)、かつ無料で公演の配信を提示したこととなる。東宝はそれだけ興行主としての責任を重く受け止めたのであろう。

舞台上で主催者がお詫び

事実、ようやく開幕となった12日の公演の舞台上、主催者としてお詫びがなされ、それがホームページでも公開された。その内容は下記の通りだ(冒頭部の抜粋)。

「私は、本公演を主催製作いたしております東宝株式会社で常務執行役員演劇本部長を務めております池田篤郎と申します。本公演の責任者でございます。

この度、私ども東宝株式会社の製作体制における見通しの甘さ、また不行き届きによりまして、公演の初日を本日まで遅滞させましたこと、こちらにいらっしゃるお客様はもちろんのこと、特に中止公演に当たり、ご観劇いただけませんでした大変多くのお客様に、この場をお借りして、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんでした。

お客様のご信頼にお応えできませんでしたこと、誠に痛恨の極みでございます。この度のような、決してあってはならない事態を再び引き起こさぬように、再発防止を徹底してまいります」

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