「当時は今と違って、ものすごくネガティブだったんですよ。よくXとかでネガティブなこと書くアイドルいますよね。私もああいった感じだったんです。でもある時、ライブでファンの方に『カワイイね』って言われて、私それをめちゃくちゃ否定したんです。そうしたらその方にものすごく悲しい顔をされて……。その出来事で『ネガティブな自分じゃダメだ』と思ったんです」
この出来事がアイドルとしてのヤギヌマメイを大きく変えることとなった。当時のネガティブなヤギヌマがもたらしたショックな出来事だった。
「あの時のファンの表情は忘れられませんね……」
ヤギヌマ自身も深く傷ついた。褒め言葉を否定すると、ファンが傷つくということを知った。それ以来、ファンを傷つけまいと開き直り始め、その究極が「カワイイって言えよ!」という今の強気なスタイルとなった。
流されるまま「ソロアイドル」として再デビュー
デビューしたグループではメンバー間での意思疎通が上手くいかなくなり、早々に脱退。事務所所属でもなく、取りまとめるきちんとした運営がいないグループでは、ある意味当然の選択となる。
そして、一緒に抜けたメンバーと2人で組んでデビューを計画。だが、そのメンバーも、デビューワンマンライブの1カ月前に辞退を申し出て、その結果、ソロアイドルとして再デビューすることになった。
「今思えばもっと支え方とか話し合うとかあったと思うんですが、当時はできていませんでしたね。でも、なんとかデビューライブはやりたかったので、2人で組んでいたセットリストとか全部ソロで考え直してやりました」
2018年5月、新宿のライブハウスでヤギヌマとして再デビューを果たす。
ソロでやりたいわけではなかった。グループに再度応募する時間もなく、ひとまず一人で始めた。
ソロアイドル・ヤギヌマメイの誕生は確固たる夢や希望に満ちたものではなく、置かれた環境に合わせた云わば惰性のようなものだった。
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