「イカゲーム」バラエティがヒットした2つの理由 6億円以上の賞金でドロドロの人間社会を描く

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カメラワークまで本家に従う再現性にもこだわるバラエティ版(写真:Netflix)

ゲーム会場に向かうカラフルな階段もほぼ同じ、数階建てのベッドが並ぶ寝泊まりする部屋も再現度が高く、流れるクラッシック音楽も一緒です。スローモーションで見せるゲームプレイのシーンまで本家に従っています。ドラマの「イカゲーム」のセットデザインや演出がいかに長けていたのか改めて感心してしまいます。

「普通のガラス」と「強化ガラス」が交互に並ぶ橋ゲームは最も気合が入ったセット(写真:Netflix)

回が進んでいくと、バラエティ版に慣れた視聴者を飽きさせないためか、ドラマに登場しない子ども向けの昔遊びをモチーフにしたゲームや脱落者を決めるバラエティ版独自のルールも増えてきます。そんななか、ふたたび驚かされるのが橋ゲームです。ドラマで見たままの「普通のガラス」と「強化ガラス」が交互に並ぶ橋があり、普通のガラスを選ぶと真っ逆さまに落ちてしまいます。渡る順番決めから少々もったいぶりながら、バラエティ版の見せ場の1つになります。

「ボス潜入」を手掛けた制作会社

では、バラエティ版もヒットしたもう1つの理由とは、人間関係に焦点を当てた点です。集団の中で人はどう動き、どう生きるのかをとことん見せていくので人間観察番組とも言えます。ジャンル分けするとリアリティショーの類なのです。先が読めないなか、人間関係が複雑化していくので中毒性があります。ただただサイコロを転がすゲームでさえ、うっかり惹きこまれてしまいます。

面白さのカギとなる人間関係にバリエーションを持たせたキャスティング力にも長けています。年齢から性別、セクシュアリティ、人種、頭脳、体力、職業までさまざまです。母親と息子で参加している2人は中でも目立ちます。参加した理由もドラマ版のように賞金目当てだけに限りません。非日常感を楽しみたいという優雅なものまであります。

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