2023年1月から11月までのフランス自動車市場のEV販売実績を見ると、販売台数ランキングの上位4車種は前述の中国製の3車種とテスラの「モデルY」だった。モデルYはドイツのベルリン工場で生産されているため、補助金支給の対象外にならなかった。
フランス政府の補助金制度改定の背後には、EU(欧州連合)が2023年8月に施行した、電池の原材料調達から製造、利用、リサイクルに至るライフサイクル全体のCO2排出量の申告を義務づける「欧州電池規則」がある。
今後は同様の制度改定がEU各国に広がるのは確実で、中国のEVメーカーや電池メーカーがヨーロッパへ進出する際の新たな障壁になりつつある。一部の中国メーカーは、EU域内に工場を建設して中国から生産を移転することで、CO2排出基準をクリアしようと動き始めている。
(訳注:欧州電池規則の内容や影響については『中国電池メーカーが身構える欧州「脱炭素の障壁」』を参照)
トルコやブラジルもハードル上昇
中国汽車工業協会の統計によれば、中国の自動車輸出台数は2023年1月から11月までの累計で441万2000台に達し、前年同期比6割近い伸びを記録した。ところが、その牽引車であるEVが外国の貿易保護政策の標的にされ、輸出が打撃を被るリスクが高まっている。
EUだけではない。トルコ政府は、中国製EVに対して(通常の輸入関税に上乗せする)40%の制裁関税を課すことを決定。ブラジル政府は、EVの輸入関税の減免措置を2024年1月から段階的に廃止することを決めた。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2023年12月15日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら