志望校合格も"中受離婚"夫婦の危機はなぜ起きた 「夜中2時に過去問コピー」40代男性のケース

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わが子よりできる子をもつ親を妬(ねた)んだり、他人の不合格を心の底で笑ったりする。自分にこんな一面があったのかと自分自身が驚く。

未熟な部分が夫婦関係において露呈すると、「中学受験クライシス」に陥る。中学受験がきっかけになって、もともと夫婦の間に隠されていた火薬に引火するのだ。もともとあった火薬が多ければ多いほど、爆発は大きくなる。

でもこれは成長のチャンスでもある。自分たちの未熟なところをお互いに認めて、それぞれに改善を重ねることができれば、夫婦の絆はむしろ強まる。仮に中学受験クライシスをだましだまし回避しても、長い人生の中では夫婦関係を揺るがすクライシスはいくらでも襲ってきていずれ破綻する。

中学受験のせいで夫婦関係が危機に陥ったと考えるのではなく、中学受験のおかげで、夫婦として克服すべき課題が明確になったと考えるべきであろう。受験生がテストを受けて、克服すべき弱点を発見するのと同じである。

それでもなお、パートナーでいる意味が見いだせないなら、発展的解消という意味での離婚も、大切な選択肢だ。

「親には親の人生がある」

両親の離婚を経験した子どもの立場からソウタさんは提言する。

「子どもには子どもの人生があるのだと認識する必要が親にあるのと同様に、親には親の人生があるのだと子どもも認識したほうがいい」

離婚すべきか、すべきでないか。この問いに対し、子どものためにどちらを選ぶのが正解かと考えるのではなく、わが子にはどんな人生を歩んでほしいかと考えて、そういう人生をまず親自身が選択すればいいのではないか。

離婚は悪であり極力避けるべきという思い込みに縛られていると、不本意な気分で人生をすごし続けることになりかねない。しかし、いざとなったら離婚も辞さずという前提に立ってもなお二人でいることを夫婦がともに選択するのなら、それは奇跡のような幸運なのかもしれない。

結婚とは何か、夫婦とは何か、家族とは何か……。中学受験はときにそんな大きな問いまで私たちに突きつける。難問に挑まなければいけないのは子どもだけではないし、成長するのも子どもだけではないのである。

(教育ジャーナリスト・おおたとしまさ)

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