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「古いジェンダー観」が技術革新を阻害してきた 『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話』など書評3冊

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[Book Review 今週のラインナップ]

・『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー』

・『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』

・『素朴な疑問VS東大 「なぜ?」から始まる学術入門』

『これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 イノベーションとジェンダー』カトリーン・キラス゠マルサル 著、山本真麻 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・医療社会学者 渡部沙織

スウェーデン出身のジャーナリストである著者は、経済学や経済史における男性中心の前提を、フェミニズムの観点から批判的に評論してきた。2015年に出版され日本語にも翻訳された『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』(河出書房新社)は、国際的なベストセラーになった。

本書は著者の2作目だ。自動車やコンピューターなど人間社会に大きな変革をもたらした技術革新(イノベーション)の陰で、人々がいかに既存の性別規範の影響の下で発想してきたか。縦横無尽に記述する。

古いジェンダー観が技術革新を阻害してきた

車輪付きスーツケースは、その単純さにもかかわらず「男らしくない」とされ、市場で普及し始めたのは1980年代になってからだった(車輪なしで持ち上げて運ぶのが「男らしい」とされた)。電気自動車は開発当初、危険で荒々しい「男性向け」のガソリン車と対比して、安全で快適な「女性向け」の車だと喧伝された。筆者によればこれらは、当時のジェンダー観が技術革新の速度や優先順位に影響を与えた顕著な例だ。

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