秋田はクマに優しくない、被害続いても駆除に抗議 専門家「執拗な電話はカスハラであり言葉の暴力」
県の担当者は、
「私たちから電話を切ることはできない」
と苦しい胸の内を明かすが、増沢さんは、
「クレームのような電話に対しては、こうしたケースでは職員から電話を切っても良い、といったルールを作って、職員が疲弊することを防ぐべきです。今回のケースでも暴言だったり、無関係の内容だったりする電話をしてくる人がいるようですが、暴言を受けたら切る、『無関係の話は対応できません』と言って切るなど、ルール化したらいい。言葉の暴力を受ける必要などまったくありません。公務員は奴隷ではないのです」
と毅然(きぜん)とした対応を取ることを勧める。
ほかの自治体でも起こる可能性
全国的にクマによる人身被害が多発している状況で、今後、駆除する判断を迫られる自治体もあるだろう。
増沢さんは、
「秋田県や美郷町で起きたことが、ほかの自治体でも起こる可能性があります」
と指摘する。
「というのも、電話をしてくる人は、ハラスメントの自覚はなく、『世直し』といったゆがんだ正義感を抱き、正しいことをしていると信じ切っているケースが目立つからです」(増沢さん)
増沢さんは、こうした電話を受けた際は「発表のとおりです。それ以上は答えられません」とだけ答えたり、電話をかけ直すと伝えて相手の名前や電話番号を聞いたりするなどの対策を取ることを推奨する。
「匿名というひきょうな手段が、カスハラを助長するためです」
増沢さんの言葉どおり、長電話を受け続けることが公務員の本業ではない。電話が鳴りやまなければ、県民や町民のために必要な公務が、どんどん置き去りにされてしまうということを忘れてはならない。
(AERA dot.編集部・國府田英之)
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