阪神が優勝すると何かが起こる「過去の珍騒動」 ファン暴走、海外メディアも"地元の儀式"に注目

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1987年以降の16年間で最下位10度、この間Aクラスは1992年(巨人と同率2位)の1度だけと暗黒時代が続いた阪神は、2003年、星野仙一監督の下、18年ぶりのリーグ優勝をはたす。

道頓堀の「かに道楽本店」では、シンボルの巨大カニ看板をファンに持ち去られることを防ぐため、V決定後、店のシャッターを閉め、社員が看板を自主警備。戎橋近くのコンビニも騒動に巻き込まれないよう21時で急きょ閉店し、心斎橋筋の商店街もほとんどの店がシャッターをおろした。

だが、その一方で、道頓堀川添いの街路灯によじ登ろうとするファンを警備に当たっていた地元商店街関係者が注意すると、「何でやねん。ここは大阪やぞ!」とつかみかかられ、乱闘寸前の騒ぎになるなど、トラブルが続発。大阪府警南署員が「命にかかわる無法な行為をやめてください」とハンドマイクで呼びかけたにもかかわらず、道頓堀川に“Vダイブ”するファンが相次ぎ、その数は5300人に達した。また、戎橋交番には、すりやひったくりの被害者の駆け込みがあとを絶たず、被害届を出す人々が列をなした。

海外メディアも道頓堀ダイブを報道…

道頓堀ダイブは海外でも取り上げられ、アメリカのAP通信は「LOCAL RITUAL(地元の儀式)」と報じている。

それから2年後の2005年、岡田阪神の優勝時にも、大阪は再び興奮のるつぼと化したが、今度は大阪市と大阪府警が一致協力して、騒動の拡大防止に全力を挙げた。

大阪市は道頓堀ダイブを封じるため、戎橋に約3メートルの防止フェンスを設置し、大阪府警も橋の両サイドに500人以上を配置し、完全封鎖した。橋に侵入したダイブ志願者は即刻警官に取り囲まれたが、「通せ」「通さない」の小競り合いは深夜まで続いた。

「川に飛び込めないのなら」とばかりに観覧車前のネオン灯ポールをよじ登り、約3メートルの高さから群衆の真ん中へダイブするファンも現れ、警備の手薄な新戎橋など周辺の橋に移動して川に飛び込む者もいたが、2年前のような大量ダイブには至らなかった。

今年も阪神V決定後には、熱狂したファンの騒動が繰り広げられることが予想されるが、警察をはじめ騒動を制止する側がどんな対策を講じてくるかも注目される。

(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。
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