仕事の負荷も残業も少ない「ゆるい職場」は、ひと昔前なら「うらやましい職場」だったかもしれない。だが、「成長できるかどうか」を重視するようになった最近の若手社員にとっては、物足りない職場になっている。
入社した会社のゆるさに失望し、成長の機会を求めて転職する。管理職世代からしたら、「厳しくても辞めるし、ゆるくても辞める。じゃあ、どうしたらいいんだ」というのが本音だろう。
背景には、時代の変化にともなう若者の価値観の変化がある。顕著なのが、就職のファーストキャリア化と、他社状況のオープン化だ。
転職を前提に話をする就活生の実態
最近の就活では、「私のファーストキャリアは……」というように、将来的な転職を前提に志望理由などを話す若手社員が増えている。終身雇用にこだわらず、転職を当たり前のものとして考えているのは若手社員の大きな傾向だ。
マイナビのキャリアトレンド研究所が2022年8月に発表したレポートによると、同年4月の新卒入社正社員のうち、3割近くが「3年以内に退職予定」と答えている。なお、「10年以内に退職予定」と答えた人は半数以上にのぼる。
もちろん、なかには10年、15年と同じ会社で働き続ける人もいるが、それは結果論でしかない。つねに「この仕事、この職場環境でどういう成長をするのか?」「どういう成長ができそうなのか?」ということを考え、納得できれば働き続ける。そんな仕事観を持つのが最近の若い世代だ。
SNSを使えば、容易に他の会社の情報を得られる時代になった。OpenWorkなどの社員のクチコミサイトも同様だ。今までは閉ざされていた社内情報が見えるようになり、他社と比較できるようになったことで、「うちの会社より、あの会社のほうが良さそうだ」と、転職を決断しやすくなったといえる。
転職サービスdodaの調査「転職理由ランキング【最新版】 みんなの本音を調査!」によれば、転職理由として「昇進・キャリアアップが望めない」(2位)「スキルアップしたい」(6位)「尊敬できる人がいない」(4位)といった理由が上位に挙がっている。これらはいずれも、「この会社では成長できそうにない」という判断に至る要因だ。
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