「キャリアアップを気にする新人」に伝えたいこと 転職よりもまずは「優秀な2年生」を目指そう
この悩ましい問題に対処するためには、自身のラーニング効率という視点で眺めるとヒントがありそうです。同時に、自分はキャリアでどこを目指すのか明確にしつつ、適宜、自身の成長速度を把握しておく仕組みを持っておくと客観的に判断できそうです。
キャリアに迷ったら「給料アップ」を意識してみる
このままマーケターとして生きていきたいと思っていますが、迷いもあります。キャリアについて音部さんはどのように考えられますか?
マーケターのキャリアについて考える場合、「いいマーケター」の定義が必要なスキルを示すように、目指すべきプロフェッショナル像が明らかだと、必要な経験が示唆されることでしょう。「いま勤めているこの会社でCMO(最高マーケティング責任者)になる」というのも1つの考え方ですが、「消費者を相手にビジネスをする企業で、マーケティング部門長の職責を持つ」と、少し幅を持たせて考えるのも悪くないアプローチです。
前者のほうが明確で強い動機を持てそうですが、後者のほうがフレキシブルで前向きな姿勢を維持しやすいかもしれません。
キャリアや人材開発の領域には、「プランド・ハプンスタンス(planned happenstance)」という考え方があります。「計画された偶然」といった意味です。キャリアの構築ではなかなか予定通りには行かないことが多く、偶然の要素がとても大きいので、偶然をうまく積み重ねましょう、という考え方です。
振りかえれば、私のキャリアもかなりの偶然とご縁に影響されてきました。どのブランドを担当したとか、誰が上司にいたとか、どの都市で働いたとか、誰が同期だったとか。偶然に左右されるなら、キャリアプランに幅を持たせて、フレキシブルに対応していくのは理にかなっているかもしれません。
とはいえ、完全に運を天に任せてしまう、あるいは行きあたりばったりで構わないということでもなさそうです。なるようにしかならないけれど、なるようにはなれるのです。そのためには相応の努力も働きかけも意味があるでしょう。やはり、ある程度の目的設定は役に立ちます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら