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SFオタクの哲学者が「マトリックス」の問いに挑む 『リアリティ+』書評

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  • 丸山 俊一 NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー/立教大学特任教授/東京藝術大学客員教授

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リアリティ+(プラス) バーチャル世界をめぐる哲学の挑戦(上・下)(デイヴィッド・J・チャーマーズ 著/高橋則明 訳/NHK出版/上・2640円/416ページ、下・2530円/336ページ)
[著者プロフィル]David J.Chalmers/哲学者、認知科学者。米ニューヨーク大学哲学教授。1966年豪シドニー生まれ。専門は心の哲学、認識論、言語哲学、形而上学。数学やコンピューターサイエンスを学んだ後、米インディアナ大学で哲学・認知科学のPh.D.を取得。

上下で750ページに及ぶVR(仮想現実)技術をめぐる哲学書である。一見難解そうだが、根本にある問いはシンプルだ。「私たちは本物の世界に生きていると言い切れるのか?」。映画『マトリックス』以来定番の問いにアプローチしていく。バーチャル=偽物、リアル=本物という2項対立ではなく、そこに生まれる「リアリティ+(プラス)」の発見、探究が目指されるのだ。

意識の定義を広げ更新

「我思う、ゆえに我あり」とは西欧近代合理主義の祖・デカルトの第1原理となる命題だが、現代のAI(人工知能)研究者らの間ではどうも評判が悪い。「思う」だけでは自らが確かに存在する根拠にはならない、「我意識あり」にすべきだったと著者も言う。

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