会合後の記者会見においてパウエルFRB議長は過去1年の大幅利上げの影響について反省の弁を見せていた。
フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」の歌詞の一節「Regrets, I've had a few(後悔も多少はあった)」は直接的にはシリコンバレー銀行(SVB)破綻に関する監督不行き届きを指していたが、間接的にはそうしたずさんな監督にもかかわらず利上げのアクセルを踏み続けたことについても含みがあったのではないかと察する。
しかし、それでも年内の利下げ観測については「適切ではない」と一蹴している。依然、アメリカの雇用・賃金情勢が逼迫している以上、この回答は必然だろう。事実として、総合ベースのインフレ率がピークアウトしてもコアベースのそれは失速が確認されておらず、「賃金主導のインフレ高進」という最も避けるべき展開に至っている不安は拭えない。
とすれば、これからのFRBがやることは「政策金利高止まりで据え置き」だろう。そうした政策環境が「低金利通貨を売って、高金利通貨を買う」というキャリー取引戦略が好まれやすくなる中、どうしても円相場は軟化しやすくなるのではないだろうか。
ECBは「小さく、長く」利上げ持続
片や、FOMCの翌日5月4日に開催されたECB政策理事会は、FRBと対照的な情報発信だった。預金ファシリティ金利を筆頭とする政策金利に関し、0.25%の利上げが決定されている。政策金利水準は2008年11月以来、約14年半ぶりの高さとなる。
3会合ぶりの利上げ幅縮小(0.50%→0.25%)は予想通りの展開であり、声明文やラガルドECB総裁会見などを踏まえる限り「小さく、長く」利上げを持続させるのが今後の基本方針になってくると思われる。
FRB同様、金融市場は「次の一手」としての利下げを期待しがちだが、ラガルド総裁は「インフレの見通しはあまりにも長く、高すぎる状態が続いている」「利上げは止めない」とその可能性を一蹴している。
会見の中でも「0.50%を主張したメンバーもいれば、0.25%を主張したメンバーもいたが、ゼロと主張したメンバーはいなかった。これは利上げの旅路がまだ続いていることを意味している」とラガルド総裁は述べ、政策理事会内で利上げ路線自体に迷いがないことが強調されている。利上げ路線が維持される理由はさまざまだが、ひとえに「まだインフレが高い」ということに尽きる。
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