千葉の「進学校」なぜ制服自由化に"失敗"したのか 金髪、遅刻、志願者減…生徒が変わってしまった

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そもそも、学校の制服自由化の動きは、60~70年代の学生運動が盛んだった時期に端を発するとされる。制服が「管理の象徴」として扱われ、自由化を“勝ち取った”時代だ。例えばそうした運動が盛んだった長野県では、私服通学の高校が今でも多い。

AKB48の登場で変わった制服へのイメージ

だが、時代は変わった。

アイドルグループの「AKB48」が活躍し始めたのが2005年。制服姿が多かった人気アイドルの影響で、制服に好感を抱く子どもたちが増えた。

「合同の学校説明会では、制服を着せたマネキンを置いてアピールしている学校がありました。生徒たちが学校を評価する際、制服がかわいいことがより重視されるようになったと感じました」(塩田さん)

制服を「束縛」として嫌悪した時代もあれば、かわいいからと積極的に着たがる現象も起きる。時代によって価値観は大きく変わるのだ。

小金高校ではその後、学校で制服再導入に向けた検討を重ね、制服のファッションショーなども行った。生徒総会でも何度も議論されたという。その結果、11年度の入学生から私服通学を廃止し、制服を再導入することを決定した。

その後、2016年度から進学を重視した「総合学科」を設置したことも奏功し、人気は徐々に回復。県内の公立小中学校教員でつくる「県教育研究会進路指導研究部会」が公表した調査の23年度の志望倍率は1・96倍(11月6日時点)。県内の公立高校で8番目に高い数字となっている。

最近の制服自由化の流れについて塩田さんは、「良いことだと思いますよ」と率直な思いを話しつつ、こう付け加える。

「本校で自由化を勝ち取ったのは、生徒たちのすごい熱量の結果です。ですが、その生徒たちが卒業し、当時を知らない生徒たちが入学してくる流れの中で、自由化の意義について『考えなくなってしまった』のが失敗だったのではないでしょうか」(塩田さん)

私服通学にしたら、茶髪やピアスなど服装が乱れすぎ遅刻が増えた結果、制服を復活させた学校は他県でもあった。

過去の新聞記事を見ると1990年代後半、関西のある高校では終業式で校長が制服復活を発表したところ、生徒たちが壇上に上がり校長に詰め寄る騒動になった。

「はやりとして制服を自由化するのではなく、その意味を生徒たちが考え続けること。それが大切なのだと思います」(塩田さん)

自由化がゴールではなく、大切なのは自由の意味を考え、つないでいくということなのだろう。

(AERA dot.編集部・國府田英之) 

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